はじめに
今日は「海洋物理学」について、できるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
「海洋物理学」という言葉を聞いて、「え、それって海のことを研究する学問でしょ? 船乗りでもないし、自分には関係なさそう…」と思った方も多いのではないでしょうか?
でも実は、海洋物理学は私たちの暮らしや地球環境にとって、とっても大切な分野なんです。
たとえば、毎年日本列島を襲う台風の進路予測や、世界の気候を左右するエルニーニョ現象など、実は海が深~く関わっているんですよ。
この記事では、そんな海洋物理学の魅力や「どんなところに役立っているの?」といった疑問を、サルでもわかる(!?)レベルでご紹介していきたいと思います。
最初はとっつきにくい印象があるかもしれませんが、最後まで読んでいただけると、
「へー、海洋物理学ってこんなにワクワクするものなんだ!」
と感じてもらえるはずです!
海洋物理学とは?
超シンプルに説明すると…
海洋物理学を一言で言うなら、「海の中で起こる物理的な現象を解き明かす学問」です。
「海の中の流れ」「波の動き」「潮汐(ちょうせき=潮の満ち引き)」などを、理科で学んだ力学や流体力学などをベースにしながら研究していきます。
海洋物理学では、「この季節になると海流がどう動くのか」「海水温が変化すると大気にどんな影響があるのか」などを数式やシミュレーションを使って明らかにしていくんですね。
海は地球表面の7割を占めるほど広大なエリアなので、
「海の動きを理解すること=地球の気候や生態系を理解すること」
とも言えます。
言い換えれば、海洋物理学は地球の心臓の拍動を知るようなものなんですね。
何の役に立っているの?
「ふむふむ、海洋物理学って海の動きを物理的に解き明かすんだ…ってことはわかった。けど、それって私たちの生活にどう関わってるの?」
そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
ここでは、海洋物理学が私たちの生活や地球環境を支える代表的な例をいくつかご紹介します。
台風や気象予測
台風や暴風雨の予測には海面水温や海流の情報が欠かせません。
海洋物理学の知見を活用することで、より正確な進路予測や被害の軽減につなげているんですよ。
漁業や水産資源管理
魚たちの回遊ルートや産卵場所は、海水温や海流によって大きく左右されます。
海洋物理学は「今年はこのエリアにたくさん魚が来そうだ」といった水産資源管理にも関わっています。
温暖化や海面上昇の研究
地球温暖化の影響を受けて、海面が上昇すると言われています。
海洋物理学は海水温の上昇や氷床融解、海洋がCO2をどのくらい吸収しているかを調べることで、温暖化メカニズムの解明に貢献しています。
海洋エネルギー開発
潮汐や波などの海洋エネルギーを利用すれば、クリーンな再生可能エネルギーを得ることができます。
ただし、「どこにどんな装置を設置すれば効率がいいのか?」といった技術的課題を解決するにも、海洋物理学の知見が重要です。
海流をうまく利用して発電する…なんだかロマンがありますな!
海洋物理学が扱う主な現象
ここでは、海洋物理学でしばしば登場する代表的なキーワードをご紹介します。
「そんなこと知ってるよ」という方も、新しい観点で見てみると面白いかも!
海流(かいりゅう)
海洋の大きな流れを「海流」と呼びます。
たとえば日本近海を流れる「黒潮」や、アメリカ東海岸沖を流れる「ガルフストリーム」などが有名ですね。
黒潮は南から暖かい海水を運んでくるので、日本の気候や生態系、さらには漁業にも大きな影響を与えています。
潮汐(ちょうせき)
月や太陽の重力の影響で起こる潮の満ち引きのことを「潮汐」と言います。
干潮と満潮を利用した漁法が各地に伝わっているほか、潮汐発電など、エネルギー利用の観点からも注目されています。
波の現象
私たちが海岸で見かける波から、巨大津波、さらには内部波(海の中の密度差で生じる波)など、多彩な波の現象があります。
波一つとっても、風が作るか・地震が作るか・海底地形がどう影響するか…と、奥が深い世界なんですよ。
熱塩循環(ねつえんじゅんかん)
海水温と塩分濃度によって、海水の密度が変わることで生じる大規模な循環を「熱塩循環」と呼びます。
大西洋の深層水の流れなどは地球の大気と相互作用しており、気候システム全体を動かす大事な原動力となっています。
エルニーニョ・ラニーニャ現象
太平洋赤道域の海面水温が異常に上昇(エルニーニョ)または低下(ラニーニャ)する現象。
これによって世界各地の気象パターンが大きく変わります。日本でも冷夏や暖冬に影響すると言われていて、農作物の収穫量にも関わる重大な現象なんです。
最先端研究のホットトピックス!
ここでは、現代の海洋物理学のホットトピックスをいくつかご紹介します。
人工知能(AI)と海洋データ解析
近年は海洋観測機器が進歩して、ビッグデータが集まりやすくなっています。
この大量のデータを効率よく解析するために、AI技術が活躍しているんです。
たとえば、衛星データと過去の観測データを組み合わせて「エルニーニョの発生」を予測したり、漁場予測に活用したりと、まるで魔法のような活用が進んでいます。
AIが「今年はこの海域に大量のマグロがいるぞ!」って教えてくれる日が来るかも!?
新しい観測技術:海中グライダー・ロボット
従来は研究船での観測がメインでしたが、最近は海中を自律的に移動するグライダーやロボットが活躍しています。
長期間にわたって海洋データを集められるので、リアルタイムでの海洋監視や深海調査が進む見込みです。
衛星リモートセンシングの進化
衛星を使ったリモートセンシング技術も飛躍的に向上しています。
海面水温や海面高度、海色(プランクトン分布の推定材料)など、さまざまな情報を高精度で捉えられるようになり、広範囲の海洋状況が把握しやすくなっています。
海氷・極域研究
北極や南極の海氷が急速に減少していると言われていますが、そのメカニズムにはまだわかっていない部分も多く残されています。
極域の海洋循環や海氷の動態を理解することは、地球規模の気候変動を予測するうえで避けては通れません。
海洋と地震・津波予測
日本を襲う大規模地震や津波被害を減らすために、海底地震計や海底ケーブルによるリアルタイム監視体制が整備されつつあります。
海洋物理学の手法を用いて、津波の伝播(でんぱ)を早期に予測し、警戒情報を出す研究も急速に進んでいます。
海洋物理学の展望 ~これからどうなる?~
さて、これからの海洋物理学はどんな方向に発展していくのでしょうか?
小型化・自動化の波
これまでは巨大な研究船や、大掛かりな設備が必要だった海洋観測も、ドローンやグライダーの進歩により小型化・自動化が進んでいます。
将来的には、ロボットの群れが海中をあちこち回りつつ、リアルタイムでデータを送ってくる…なんて未来が現実になるかもしれません。
AIとのさらなる融合
先ほども触れましたが、AI技術の進歩は海洋物理学にとって大きなチャンスです。
これまでは膨大すぎて扱いきれなかったデータも、AIがパターンを見つけ出し、新しい知見を提示してくれる可能性があります。
新素材・新技術を使った観測機器
超軽量かつ高強度の素材や、エネルギー効率に優れたバッテリー技術が登場すれば、さらに長期間の海洋観測が可能になります。
海底に何年も設置して動き続けるセンサー、なんていう夢のような機器も登場するかもしれません。
社会への実装
防災・減災や気候変動対策は、もう海洋物理学なしでは語れません。
とくに沿岸部に大都市が多い日本では、海洋に関する研究成果をどれだけ社会に還元できるかが重要です。
漁業、観光、エネルギー、インフラ整備など、多方面で海洋物理学の知識が活かされるようになるでしょう。
国際協力の加速
海洋は国境を越えて続いています。
気候変動や資源管理など、グローバルスケールの課題に取り組むには、国際的な研究協力が不可欠です。
データ共有や観測網の構築など、世界規模での連携がますます強まると思われます。
まとめ
いかがでしたか?
これからの社会では、地球の持続可能性や気候変動への対応がますます重要視されます。
海洋物理学の知識が、私たちの未来を支える大切なカギになるかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 少しでも「海洋物理学おもしろそう!」と思っていただけたら嬉しいです。
深くて広~い海の物理…まだまだ知らないことがいっぱいでワクワクするね!