世界の歴史

初心者でもわかる!文学の歴史をやさしく解説

はじめに:文学の魅力と歴史を学ぶ意義

みなさんは、「文学」と聞いてどんなイメージを持ちますか?

有名な作家の小説や、昔から読み継がれている物語、あるいは詩や戯曲(演劇の台本)などを思い浮かべるかもしれませんね!

文学とは、言葉を使って人々の感情や思考、物語を表現し、それを読者に届ける芸術のひとつです。

人々は太古の昔から、物語や詩などの形で人生を語り合い、文化を共有してきました。

そのため、文学の歴史を学ぶことは、人間の文化や歴史そのものを知ることにもつながります!

この長い旅路のような「文学の歴史」を学ぶと、古代の人々がどんな思いで物語を語り継いでいたのか、あるいは近代においてどんなテーマが注目されたのかがわかるようになります。

そうした視点を持つと、自分が読む小説や詩がより深く味わえるようになり、読書の楽しみがぐんと広がるはずです!

今回は、そんな文学の歴史をやさしく、わかりやすく解説していきます。

初学者の方でも読みやすいように工夫しましたので、ぜひ最後までおつきあいくださいね!

文学とは何か?:広い意味と狭い意味

言葉による表現芸術

文学は、広い意味で「言葉を使って感情や思想を芸術的に表現するもの」を指します。

たとえば、物語(小説や民話、昔話など)、詩、戯曲、エッセイなど、言葉を媒介とする創作物全般が含まれます!

詩や物語はなぜ生まれた?

人間は太古の昔から、自分たちの歴史や経験、神話を語り継ぐことで知恵を共有してきました。

火を囲みながら物語を語ったり、祭りの場で神話や伝説を歌にして伝えたりしてきたのです。

言葉は、私たちが互いを理解し、感動を分かち合うための重要な道具です。

「文学の歴史」はなぜ大切?

歴史を振り返ることで、時代ごとに生まれた作品がどういう背景で書かれたのかを知ることができます。

社会や文化、思想の変遷とともに文学も変わってきました。

文学を学ぶことは、そこに反映された人間の多様な姿を知る機会でもあるのです!

古代の文学:神話や叙事詩の世界

メソポタミア文明と『ギルガメシュ叙事詩』

世界最古の文学作品といわれるのが、メソポタミア文明において書かれた『ギルガメシュ叙事詩』です!

シュメール人が残した楔形文字(くさびがたもじ)の粘土板には、王ギルガメシュの冒険や友人エンキドゥとの絆、死への恐怖などが描かれています。

これが現存する最古級の物語文学だといわれており、当時の人々が抱いていた生と死、友情、運命への思いを感じることができます。

古代エジプトの文学

古代エジプトでも、パピルス(紙のもとになった植物)や石の壁画などで物語が記録されてきました。

神々の伝説や王の偉業、死者の書などは、現代においても研究が盛んに行われています。

特に「死者の書」は、死後の世界観や宗教的な考え方が詳しく記され、エジプトの人々がいかに死後の世界を恐れ、神々に祈りを捧げていたかを知る貴重な資料となっています。

ギリシャ・ローマの叙事詩と劇

古代ギリシャでは、ホメロスによる『イーリアス』『オデュッセイア』といった叙事詩が有名ですね!

トロイア戦争を舞台とした物語や、オデュッセウスの長い旅路が描かれています。

力強い英雄の物語や神々の干渉などは、後のヨーロッパ文化に大きな影響を与えました。

また、ギリシャ悲劇や喜劇の存在も見逃せません。

アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスらによる悲劇や、アリストファネスによる喜劇は、いま読んでも迫力満点です!

その後のローマ文学では、ウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』オウィディウスの『変身物語』などが名作として語り継がれています。

中世ヨーロッパの文学:騎士道物語や宗教文学

教会中心の文化

中世ヨーロッパは、キリスト教が文化の中心を担っていた時代でした。

教会の力が非常に強く、文学の多くは神を称える聖書の解説や宗教詩などが主流でした。

一方で、修道士がラテン語で書いた歴史書や年代記など、知識人向けの文章も残されています。

騎士道文学の登場

しかし、中世も後半になると世俗の物語やロマンス(騎士道物語)が登場します!

有名なのは、フランスで語られた「ローランの歌」イギリス(アングロ=ノルマン)の「アーサー王伝説」などです。

勇敢な騎士や美しい姫、魔法使いが登場するこれらの物語は、大衆の娯楽としても人気を博しました。

また、宮廷の恋愛を描く「宮廷愛(コートリー・ラブ)」の文学も発展し、詩人トルバドゥールたちが恋愛詩を謳い上げました。

騎士道精神や高貴な恋愛観は、中世ヨーロッパ特有の文化背景を反映しています。

民衆文学の台頭

中世末期には、庶民向けの物語や説話が広がります。

聖人伝や民話、寓話などを通じて、道徳や生活の知恵が伝えられました。

特にイギリスのチョーサーによる『カンタベリー物語』は、巡礼の道中で語り合う人々の多彩な姿をユーモラスに描いた名作として知られています!

ルネサンスと宗教改革の時代:ヒューマニズムと印刷技術の影響

ルネサンスと古典復興

ルネサンス期(14〜16世紀頃)には、古代ギリシャ・ローマの古典が見直され、学問や芸術が大きく発展しました。

ここでは、人間性を重視するヒューマニズムの考え方が広まり、文学にも新しい風が吹き込まれます!

活版印刷術の革新

15世紀半ばにグーテンベルクが活版印刷術を改良したことで、書物の大量生産が可能となりました。

これにより、聖書や古典文学、学問書が庶民の手にも届くようになったのです。

印刷技術の普及は、文学の発展にとって画期的な出来事でした!

代表的な作品と作家

ルネサンスを代表する作家といえば、やはりイタリアのダンテ、ペトラルカ、ボッカチオが挙げられます。

ダンテの『神曲』は、地獄から煉獄、天国へと旅する物語であり、中世からルネサンスへの移行期を象徴するような壮大な叙事詩です。

また、イギリスではシェイクスピアが詩人・劇作家として活躍し、『ハムレット』『マクベス』『ロミオとジュリエット』など、多くの名作戯曲を残しました。

彼の作品は言語の巧みさや人間心理の描写が評価され、世界文学史において不動の地位を確立しています。

近代文学の夜明け:17世紀〜18世紀

バロックと古典主義

17世紀のヨーロッパは絶対王政の時代!

フランスではルイ14世のもとで宮廷文化が栄え、文芸の中心地となりました。

劇作家コルネイユやラシーヌは悲劇を、モリエールは喜劇を発展させ、いずれも「古典主義文学」と呼ばれています。

形式や文体の美しさ、理性や秩序を重視するスタイルが特徴です。

啓蒙主義の文学

18世紀に入ると、理性や科学を重視する「啓蒙主義」がヨーロッパ各地で盛んになります!

フランスのヴォルテールやルソー、ドイツのゲーテ(後に古典主義・ロマン主義へまたがる活躍をしました)などが代表的です。

サロンと呼ばれる社交の場で知識人が集い、思想や文学について活発に議論が行われました。

また、この時期にはイギリスで小説が隆盛を迎え、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』やスウィフトの『ガリヴァー旅行記』、リチャードソンの『パミラ』などが登場。

いずれも人間性や社会風刺に焦点を当てた、斬新な作品が次々と発表されました!

ロマン主義から近代リアリズムへ:19世紀の文学

ロマン主義の台頭

19世紀前半においては、理性重視の啓蒙思想への反動から、感情や個性、自然への憧れを強調する「ロマン主義」が広がりました。

イギリスでは詩人ワーズワースやコールリッジ、バイロン、シェリー、キーツなどが活躍!

彼らの作品は、自然の美しさや人間の内面を情熱的に描いた点が特徴です。

ドイツではノヴァーリスホフマン、フランスではヴィクトル・ユーゴーが小説・詩で大きな成功を収めました。

ロマン主義の作家たちは、想像力の翼を広げ、個人の自由や民族のアイデンティティを謳いあげたのです!

リアリズム・自然主義の発展

19世紀後半になると、社会の現実や人間の生活をありのままに描こうとする「リアリズム」や「自然主義」が登場します。

フランスのスタンダールやバルザック、フローベール、ロシアのトルストイやドストエフスキーなどが代表的な作家ですね!

彼らは、社会問題や人々の心理、倫理観の葛藤などを徹底的に分析して作品に取り込みました。

物語が単なるロマンや冒険だけでなく、「社会を鏡に映す」役割を果たすようになったのです。

日本文学の幕開けと西洋文学の影響

この頃、日本では江戸時代の文化が栄え、上田秋成や滝沢馬琴らが怪異譚(かいいたん)や読本(よみほん)を手がけていました。

幕末・明治維新を経て日本に西洋文化が流入すると、小説というジャンルが新たに注目を集めるようになります!

二葉亭四迷の『浮雲』、坪内逍遥の『小説神髄』などが登場し、近代文学の基礎が築かれました。

その後、森鷗外夏目漱石がヨーロッパ文学の影響を受けながら、日本独自の文学を切り開いていきます。

近代〜20世紀前半の文学:多様化と国際交流

モダニズム文学の興隆

20世紀に入り、第一次世界大戦や急速な工業化など社会が激動する中で、「モダニズム」と呼ばれる新しい文学潮流が誕生しました!

伝統的な文体や物語構造にとらわれず、人間の内面や意識の流れ、言語表現の実験などに取り組む動きが活発化します。

イギリスのヴァージニア・ウルフやジェイムズ・ジョイス、アメリカのウィリアム・フォークナー、フランスのマルセル・プルーストなどが代表的な作家です。

彼らは独創的な文体を用いて、従来の文学から一線を画す表現を追求しました。

ロシア文学の流れ

19世紀にリアリズムを発展させたロシア文学は、20世紀に入っても多くの才能を輩出しました。

革命や戦争という大きな歴史の渦中で生まれた作品には、社会変動への視点や人々の苦悩が深く刻まれています。

たとえばマクシム・ゴーリキーやボリス・パステルナーク、さらにソ連時代の検閲下でも独自の表現を追求したミハイル・ブルガーコフらが知られています。

日本の近代文学と大正・昭和の流れ

日本では明治以降、欧米の文学思想が流入し、自然主義や浪漫主義など多様な運動が展開されました。

大正時代には耽美派(たんびは)白樺派が活躍し、昭和初期にはプロレタリア文学(労働者階級を描く文学)新感覚派などが登場します!

谷崎潤一郎や川端康成、横光利一らの作品は、独特の美意識とモダニズムの影響を受けながら、日本語による新しい文体を開拓しました

また、戦争という時代の波に翻弄されながらも、太宰治や三島由紀夫、安部公房といった作家が個性的な作品を発表し続けます。

第二次世界大戦後〜現代の文学:多元化する世界

戦後文学の再出発

第二次世界大戦後、世界は大きく変貌を遂げました。文学もその影響を受け、人間の生死や戦争の悲惨さ、そこからの再生が大きなテーマとなります。

たとえばフランスの実存主義文学(サルトル、カミュなど)や、ドイツのグラス、イギリスのオーウェルやハクスリーによるディストピア作品が注目されました。

日本では、敗戦の体験を基にした戦後文学が活発に展開され、野間宏や大岡昇平、遠藤周作らが戦争と人間の本質を探求します。

戦争を経た社会がどう変わっていくのか、傷ついた人々がどのように生きるのか――そんな問いが多くの作家の筆を動かしました。

8-2. ポストモダニズムと多文化主義

1960年代以降、世界はさらに複雑化・多様化していきます。その流れの中で登場したのが「ポストモダニズム文学」や「多文化主義」と呼ばれる動向です!
ポストモダニズム文学では、物語の構造そのものを解体したり、作者の視点を相対化したりと、新たな試みが行われました。アメリカのトマス・ピンチョン、ジョン・バーンスなどは難解なストーリー構成で知られますが、その実験性が高く評価されています。
多文化主義の潮流では、民族や人種、ジェンダーなどの問題を積極的に取り上げ、これまで主流文学の舞台に立つことが少なかった人々の声が表現されるようになりました。アジア系やアフリカ系、ラテンアメリカ系の作家たちが世界的に活躍し、文学の枠組みをさらに広げています。

現代日本文学と世界との交流

日本でも戦後から高度経済成長を経て、文学のテーマや作風は多様化しました。

村上春樹はその代表例で、ポストモダン的な作風で世界的な人気を博しています。

ほかにも吉本ばなな(ペンネームの違いを含む表記をすることがあります)や川上弘美らが独創的な作品を発表し、新世代の読者をつかみました!

インターネットやSNSの普及によって、文学はさらに広がりを見せています。

書籍だけでなく、ウェブ小説や電子書籍、映像作品とのコラボレーションなど、多彩なメディアで作品が生み出されています。

いまや文学は、国境や言語の壁を越えて読むことができる時代になりました!

文学の歴史から学ぶこと:時代背景と人間の物語

ここまで、ざっと文学の歴史をたどってきましたが、いかがでしたか?

文字が生まれる前から、人間は声や歌、詩で自分たちの物語を紡いできました。

その積み重ねが各時代の思想や社会を映し出し、人類全体の歩みの一部となっています!

歴史を学ぶうえで重要なのは、その時代を生きた人々の視点や感性に目を向けることです。

文学作品を読むことで、当時の社会制度や人々の暮らし、価値観をリアルに感じ取ることができるのです。

たとえば、中世の騎士道文学に憧れれば、その時代の秩序や恋愛観が少し理解できるかもしれません!

また、リアリズム文学を通じて貧困や社会的な葛藤を知ったり、モダニズム文学から人間の内面の複雑さに目を開かれたりすることもあるでしょう。

戦争文学を読めば、戦争がもたらす悲劇に思いを馳せることができます。

こうした学びは、私たちの想像力や共感力を刺激し、自分とは異なる文化や考え方を理解する手助けになります。

まさに、文学の歴史は「人間理解の歴史」でもあるのです。

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