【サルでもわかる】学問紹介シリーズ

【サルでもわかる】文学理論入門!本の読み方が180度変わる新しい世界

2024年12月19日

はじめに:文学理論とは何だろう?

みなさんは「文学理論」と聞くと、どのようなイメージを持っていますか?

「小難しそう」「哲学や批評のようで手が出しにくい」など、ちょっと敷居が高い印象を受ける方も多いかもしれません。

しかし、文学理論は決して専門家だけのものではありません!

文学理論とは、作品を読むときに用いられる「考え方」や「視点」を体系化したものです。

小説や詩、戯曲など、さまざまな文学作品をより深く、あるいは多角的に読み解くためのツールといってもいいでしょう。

実際、文学理論の多くは「このように読むと、作品の新たな側面が見えてくるよ!」という提案でもあるのです。

例えば、ある作品が単に「面白い!」と思われるだけではなく、その背後にある社会状況や、作者の意識、読者と作品の関係など、多彩な角度から読み解くことができます。

そうした分析の視点を整理してきたのが文学理論なのです。

本記事では、「文学理論ってそもそも何?」という初歩的な疑問から、代表的な理論の概要、どう学び始めるかまでを一気にお伝えします! 

初めての方にも読みやすいように心掛けて書いていますので、ぜひ気軽に読み進めてみてください。

文学理論を学ぶメリット

作品をより深く楽しめる

文学理論を知ることで、作品の裏側に潜むテーマや文脈に気づきやすくなります。

単にストーリーを追うだけでなく、「ここにこんな仕掛けがあるんだ!」「作者はなぜこの言葉を選んだんだろう?」といった新たな発見が増えるはずです。

幅広い視点が身につく

文学理論は、作品だけでなく社会全体を読み解くヒントにもなります。

社会的・文化的背景を深く考えたり、人間の心理や哲学的な問いに触れたりと、あらゆる思考のトレーニングになるんです。

多角的な視点を身につければ、自分の人生や他者の生き方を見る目も変わるかもしれません!

批評や考察を書くときの武器になる

学校のレポートや、読書感想文、ブログでのレビューなどを書くときにも大いに役立ちます。

文学理論を軸にすると、作品へのアプローチが明確になり、独自の切り口を提示しやすくなりますよ。

ぴろき

なんといっても作品を多角的に楽しめるようになるのは、物語好きにとってはめちゃくちゃ魅力的だよね!

文学理論の歴史をざっくりチェック!

文学理論は長い歴史の中で少しずつ発展してきました! 大まかな流れを知っておくと、それぞれの理論が生まれた背景を理解しやすくなります。

古代〜中世

  • 古代ギリシャの哲学者たち(プラトン、アリストテレスなど)
    文学理論のルーツとも言われます。プラトンは詩作を厳しく批判し、アリストテレスは『詩学』のなかで詩(特に悲劇)を分析しました。ここで言語表現や模倣(ミメーシス)の概念が注目され、文学を理論的に考える下地ができました。
  • 中世ヨーロッパ
    教会や宗教に深く根ざした文芸批評が中心。文学作品は宗教的教訓や道徳を伝える手段として評価されることが多かったのです。

近代〜現代

  • 18〜19世紀:ロマン主義・リアリズムなど
    フランス革命や産業革命の影響もあり、個人の感情や内面を重視するロマン主義が盛り上がりました。一方で社会の現実を描くリアリズム文学なども台頭し、文学の表現も多様化していきます。
  • 20世紀初頭:形式主義・構造主義
    ロシア・フォルマリズム、新批評(ニュー・クリティシズム)、さらにフランスでの構造主義など、多くの分析手法が生まれました。ここではテキストそのものの構造や言語表現を精密に読み解く動きがメインです。
  • 20世紀後半〜:ポスト構造主義・ポストモダニズム
    ジャック・デリダの脱構築(デコンストラクション)や、ミシェル・フーコーの権力論などが登場。言語や権力関係、主体性などの概念がさらに深く追求され、文学理論も社会批評や思想批評と密接につながっていきます。

こうした流れをざっくりでもつかんでおくと、文学理論を学ぶ際に「なぜこんな考え方が必要とされたのか」が見えやすくなるはずです!

代表的な文学理論をざっくり紹介!

ここでは、代表的な文学理論をいくつかピックアップしてご紹介します。

すべてを網羅するのは難しいですが、「こんなに多様な見方があるんだ!」とイメージしてもらえれば十分です!

ロシア・フォルマリズム

テキストそのものの形式や技法に注目し、作品の文学性を明らかにしようとする理論。

シクロフスキー、ヤーコブソンなどが有名です。

特にオストラネーニエ(異化)という概念が有名です。

文章や表現によって、読者に日常を新鮮なものとして体験させる手法に注目しました。

文学はどのように現実を特別なものとして見せているか?」を考えるのが鍵です!

新批評(ニュー・クリティシズム)

作品を作者の意図や歴史的背景に頼らず、テキスト内部の構造を徹底的に読む!という姿勢。

T.S.エリオット、クリーンソンなどが有名です。

テクスト中心主義ともいえるこの姿勢においては、作品から得られる印象や文脈を、言語表現に基づいて分析するのが重要です。

構造主義

フランスを中心に、言語学人類学などの手法を取り入れた学問的アプローチ。

ロラン・バルト、クロード・レヴィ=ストロースなどが有名です。

作品だけでなく神話や文化現象などを「構造」として捉え、パターンやルールを見出す!

記号学的な視点で「言葉がどう意味を構築しているのか」を分析します。

脱構築(デコンストラクション)

テキストが表面的に示す二元論(例えば、善と悪、男性と女性など)を崩していき、言語の不安定性を暴き出す理論。

ジャック・デリダが有名です。

「意味は固定されない!」「テキストは常に揺れ動く!」という視点から、読者が持つ前提を疑い、読解を再考するアプローチが特徴です。

フェミニズム批評・ジェンダー批評

文学作品におけるフェミニズム的な女性の描かれ方や、ジェンダー構造を分析するアプローチ。

シモーヌ・ド・ボーヴォワール、エレーヌ・シクスーなどが有名です。

「女性の声はどこにあるのか?」「社会はどんな規範を押し付けてきたか?」といった疑問を通じて、作品を読む際のジェンダーバイアスに着目します。

マルクス主義批評

社会的・経済的視点から文学を批評し、階級やイデオロギーの問題を読み解くアプローチ。

ジョージ・ルカーチ、アントニオ・グラムシなどが有名です。

「作者や作品が属する社会的な文脈はどうなっているのか?」「文学は支配階級や搾取構造をどのように映し出しているか?」といった観点が中心になります。

ポストコロニアル批評

植民地主義や帝国主義の影響、文化的ヘゲモニー(支配)などに着目して文学を分析する。

エドワード・サイード、ガヤトリ・スピヴァクなどが有名です。

「西洋の視点が当たり前」とされてきた文学の世界で、被植民地の人々がどう描かれているかを問う。

社会的・政治的な影響を重視する理論です!

ほかにも精神分析批評や読者反応批評など、挙げ始めるとキリがありませんが、初心者の方はまず上記の代表的な理論をざっくり理解してみましょう。

文学理論と他の学問領域

文学理論は、哲学社会学心理学言語学など、実に多くの学問と接点があります!

例えば、言語学の理論が文学テキストの読解に応用されたり、心理学の視点で物語構造やキャラクターの心の動きを分析したりすることも可能です。

  • 哲学との関係: 存在論認識論など、哲学的な問題意識は文学作品の世界観を理解するうえで大きなヒントになります。
  • 社会学との関係: 社会階級や権力構造、ジェンダーなどの議題は文学理論でも頻出のテーマ。社会学的視点を持つことで、作品が書かれた時代の空気感をより深く捉えられます。
  • 心理学との関係: フロイトやユングの理論が文学批評に取り入れられたことも有名です。登場人物の無意識や象徴的モチーフを読み解く際に役立ちます!
  • 言語学との関係: 構造主義ポスト構造主義などは言語学の理論を強く下敷きにしています。テクストを精読するときに、文法や文体論が頼りになることも多いですね。

このように、文学理論は多角的・学際的な学問領域であり、知れば知るほど「ほかの分野も知っておきたい!」という好奇心を刺激されることでしょう。

具体例で学ぶ! 簡単な「理論応用」のイメージ

ここでは簡単な例をひとつ挙げて、どのように文学理論が使われるのかイメージしてみましょう。

例:ある短編小説のヒロインに注目する

  • フェミニズム批評の場合
    「このヒロインはどんな役割を与えられているのか?」「男性主人公を補佐するだけの存在になっていないか?」「物語の中で女性の主体性は認められているか?」といった視点を持ちます。
  • マルクス主義批評の場合
    「ヒロインの社会階級はどう描かれている?」「作者の背景や時代は、階級格差をどう反映している?」「資本主義の構造や搾取のメカニズムが見え隠れしないか?」などを探ります。
  • 構造主義的アプローチ
    物語の中での対立構造や、主人公—ヒロイン—敵役といったキャラクター構造を分析し、どのようなパターンや神話的モチーフが組み込まれているかを考えます。

同じ作品を読んでも、理論が変わると視点もガラッと変わるんです!

こうした違いを楽しめるようになると、文学理論を学ぶ醍醐味をより深く味わえますよ。

まとめ

いかがでしたか?

現代は小説だけでなく、マンガ・アニメ・映画・ドラマなど多様な物語文化が発達しています。

こうした物語にも文学理論を応用すれば、意外な発見がたくさんあるはず。文学理論が「難しい専門の学問」というよりも、「私たちの身近にある物語世界を解き明かす鍵」だと思っていただければうれしいです!

まずは興味を持てそうな理論や批評家を探してみて、気になったらその人物の著作に当たってみましょう。

わからない専門用語があっても、ネットや解説本を活用しながら少しずつ理解を深めればOKです!

ぜひ、楽しみながら文学理論を学び、みなさんの読書ライフをさらに豊かにしていってくださいね。

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