【サルでもわかる】学問紹介シリーズ

【サルでもわかる】言語学入門!わかりやすく解説します!

はじめに

「言語学って聞いたことあるけど、なんだか難しそう…」

「文法とか発音とか、そういうのを研究する学問なんでしょ?全然おもろないやん…」

こんな風に思っている人、きっと多いはずです。

実は私も最初はそうでした。

でも、言語学の世界に飛び込んでみたら、これがめちゃくちゃ面白いんです!

だって考えてみてください。

私たち人間は、毎日当たり前のように言葉を使っています。

朝起きて「おはよう」と家族に挨拶をし、学校や会社で友達や同僚と話をし、スマートフォンでSNSに投稿をする。

そうやって、一日中言葉と関わって生きているんです。

そんな身近な「言葉」の秘密を解き明かすのが言語学なんです。

この記事では、言語学の基本から最新の研究まで、高校生でも理解できるようにわかりやすく解説していきます。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

言語学とは?

① 超シンプルに説明すると…

まずは言語学の定義から見ていきましょう。

言語学というのは、人間の言語を科学的に研究する学問です。

「科学的に研究する」というのがポイントです。

なぜなら、言語学は単なる「言葉の使い方を学ぶ」という学問ではないからです。

例えば、日本語の「は」と「が」の違いについて考えてみましょう。

「私は学生です」と「私が学生です」。

この二つの文には、どんな違いがあるでしょうか?

「は」は既に話題に上がっている事柄を指し示すときに使い、「が」は新しい情報を導入するときに使うんです。

こうした言葉の使い分けの規則を、データを集めて分析し、理論化するのが言語学なんです。

また、言語学は世界中のあらゆる言語を研究対象としています

日本語や英語はもちろん、アフリカの少数民族が使う言語や、消滅の危機に瀕している言語まで。

それらの言語を比較することで、人間の言語に共通する特徴や、それぞれの言語の独自性を明らかにしていくのです。

そして、言語学者たちが研究しているのは、文法や発音だけではありません。

例えば、子どもはどうやって言葉を覚えていくのか

脳はどのように言語を処理しているのか

言語はどのように変化していくのか

こういった疑問にも、言語学は科学的にアプローチしているんです。

次のセクションでは、そんな言語学が私たちの生活にどんな影響を与えているのか、具体的に見ていきましょう。

② 言語学は何の役に立っているの?

「へー、言語学って面白そうだけど、実際の生活には役に立つの?」

そんな疑問を持った人もいるかもしれませんね。

実は、言語学は私たちの生活のいろいろな場面で大活躍しているんです!

具体的に見ていきましょう。

人間に対する理解の向上

言語学の最も重要な役割の一つは「人間本性の解明」です。

私たち人間を他の生物と区別する最も大きな特徴の一つが「言語」です。

言語を研究することは、すなわち人間という存在を深く理解することにつながるんです。

例えば、なぜ人間は言語を使うことができるのか?

どうして世界中の言語には共通点があるのか?

言語は思考にどのような影響を与えているのか?

こういった根本的な問いに答えることで、私たち人間についての理解を深めることができるんです。

外国語教育

まず、言語学の研究は「外国語教育」に大きく貢献しています。

例えば、日本人が英語を学ぶとき、なぜ「発音」や「冠詞(a, the)」が難しいのか。

それは、日本語と英語の言語体系が大きく異なるからなんです。

言語学の研究によって、そういった違いが明らかになり、より効果的な学習方法が開発されているんです。

言語障害の治療

次に、「言語障害の治療」の分野でも言語学は重要な役割を果たしています。

例えば、失語症(脳の損傷によって言語能力が失われる障害)の患者さんの治療に、言語学の知見が活かされています。

言語がどのように脳で処理されているのかを理解することで、より効果的なリハビリ方法を開発することができるんです。

人工知能への応用

みなさんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか?スマートフォンの音声アシスタント。

「おはよう」と話しかけると、「おはようございます」と返事をしてくれます。

これって、すごいことだと思いませんか?

機械が人間の言葉を理解し、適切な返事をする。

これを可能にしているのが、言語学の研究成果なんです。

人間の言語処理のメカニズムを解明し、それをコンピュータに応用することで、より自然な対話ができる人工知能が開発されているんです。

また、最近では「機械翻訳」の精度も飛躍的に向上しています。

これも言語学の研究があってこそ。

diferentes idiomas(スペイン語)、different languages(英語)、異なる言語(日本語)。

それぞれの言語での表現の違いを理解し、適切に翻訳するための理論とアルゴリズムの開発に、言語学の知見が活かされているんです。

いかがでしょうか?

言語学は、私たちの生活に深く関わる、とても実用的な学問だということがわかりましたよね。

次は、言語学がどんな分野に分かれているのか、詳しく見ていきましょう。

③ どんな学問領域に分かれているの?

言語学には、実にたくさんの分野があります。

それぞれの分野が異なる視点から言語を研究していて、とても面白いんです。

主な分野を見ていきましょう。

音声学・音韻論

これは、言語の音に関する研究を行う分野です。

例えば、日本語の「つ」という音。

この音を出すとき、私たちは舌先を上の歯茎につけて、そこから空気を解放しています。

こうした発音の仕組みを研究するのが音声学です。

形態論

これは、単語の形や構造を研究する分野です。

例えば「走る」という動詞。

「走らない」「走った」「走らせる」など、いろいろな形に変化しますよね。

この変化の規則を研究するのが形態論なんです。

統語論

これは文の構造を研究する分野です。

「私は昨日公園で犬の散歩をした」という文。

この中で「私は」は主語、「した」は述語、「昨日」「公園で」は修飾語です。

こうした文の組み立て方のルールを研究するのが統語論です。

意味論

言葉の意味を研究する分野です。

例えば「かわいい」という言葉。

赤ちゃんも「かわいい」、子犬も「かわいい」、お菓子も「かわいい」。

同じ「かわいい」でも、少しずつニュアンスが違いますよね。

こうした言葉の意味の広がりを研究するのが意味論です。

語用論

実際のコミュニケーションの中での言葉の使われ方を研究します。

例えば「暑いね」という発言。

これは単に気温の高さを伝えているだけでなく、「窓を開けてほしい」という要望を暗に示している可能性もありますよね。

このような言葉の実際の使われ方を研究するのが語用論です。

社会言語学

これは、社会の中での言語の使われ方を研究する分野です。

例えば、若者言葉や方言、男女による言葉の違いなど。

社会の様々な要因が言語使用にどう影響するかを研究します。

歴史言語学

言語の歴史的な変化を研究します。

例えば、かつての日本語では「美しい」を「うつくし」と発音していました。

なぜ、どのように「うつくしい」に変化したのか。

そういった言語の変遷を研究するのが歴史言語学です。

神経言語学

新しい分野も発展してきています。その代表例が神経言語学です。

最新の脳機能イメージング技術を使って、人間が言語を処理するときの脳の動きを観察する研究です。

例えば、私たちが「りんご」という言葉を聞いたとき、脳のどの部分が活性化するのか。

母語と外国語では、脳の使われ方に違いがあるのか。

そういったことが、少しずつ明らかになってきているんです。

このように、言語学には様々な分野があり、それぞれが異なる角度から言語の研究を進めています。

そして、これらの分野が互いに連携することで、言語についての理解がどんどん深まっているんです。

では次に、言語学の最先端の研究について見ていきましょう。

言語学の最先端研究!

さあ、ここからが本当に面白い!

今、言語学の世界では、とてもワクワクするような研究が行われているんです。

いくつかのホットな研究テーマを紹介していきましょう。

絶滅危機言語の研究

世界には約6000の言語があると言われていますが、その多くが消滅の危機に瀕しているんです。

研究者たちは、そうした言語を記録し、保存する活動を行っています。

例えば、アイヌ語。

日本の先住民族であるアイヌの人々の言語です。

現在、アイヌ語を母語とする話者はごくわずかとなっていますが、研究者たちは必死にアイヌ語の調査と記録を進めています。

なぜなら、一つの言語が失われることは、その言語に込められた文化や世界観も失われることを意味するからです。

ぴろき

言語は民族の文化ととても密接にかかわっているから、文化継承の役割も大きいんだ。

手話言語学

手話も音声言語と同じように、独自の文法や表現規則を持つ完全な言語なんです。

研究者たちは、手話特有の文法規則や表現方法を研究し、ろう者とのコミュニケーションの改善に役立てています

人工知能と言語学の融合研究

最近話題のChatGPTなど、人工知能による自然言語処理の発展には目覚ましいものがありますよね。

実は、これらの技術の裏側では、言語学の理論が重要な役割を果たしているんです。

例えば、「文脈理解」の研究。

「この本、面白いよ」という発言があったとき、「この本」が具体的に何を指しているのか。

人間なら自然に理解できることを、コンピュータにも理解させる研究が進められています。

また、「多言語音声認識」の研究も進んでいます。

世界中のどの言語で話しかけても正確に理解できる、そんなシステムの開発を目指しているんです。

言語習得研究

赤ちゃんは、どうやって言葉を覚えていくのでしょうか?

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ一言も話せません。

でも、わずか数年で複雑な文法を使いこなせるようになります。

この不思議な能力の謎に、最新の研究が挑んでいるんです。

例えば、生後6ヶ月の赤ちゃんに様々な言語音を聞かせる実験。

その結果、赤ちゃんは既に母語の音と外国語の音を区別できることがわかってきました。

このように、言語学の最先端研究は、私たち人間の持つ素晴らしい言語能力の謎に迫ろうとしているんです。

さあ、次は言語学の未来について見ていきましょう。

言語学の展望

言語学は、これからますます重要になっていく学問分野です。

ここまで見てきた言語学の基礎的内容を踏まえて、その理由をいくつか見ていきましょう。

人工知能の発展

まず、人工知能の発展に伴って、言語学の重要性が高まっています。

スマートフォンの音声アシスタントや自動翻訳など、私たちの生活に欠かせない技術の多くが、言語学の研究成果を基に作られているんです。

これからの社会では、人間とAIの対話がより身近になっていくでしょう。

そのとき、人間の言語をより深く理解する言語学の知見が、ますます必要とされるはずです。

グローバル化の進展

次に、グローバル化の進展も言語学の重要性を高めています。

世界中の人々が、インターネットを通じて簡単につながれる時代。

異なる言語を話す人々との円滑なコミュニケーションが、ますます重要になってきています。

そこで必要になるのが、効果的な言語教育の方法です。

言語学の研究は、より効率的な外国語学習方法の開発に貢献していくでしょう。

また、言語と認知の関係についての研究も、これから大きく発展すると予想されています。

私たちの思考は、言語とどのように結びついているのか。

使う言語によって、物事の捉え方は変わるのか。

こうした問いへの答えは、教育や心理療法など、様々な分野に影響を与えるはずです。

言語の多様性の保護

さらに、言語の多様性を守る取り組みも、ますます重要になっていくでしょう。

世界の言語の多くが消滅の危機に瀕している今、各地の言語を記録し、保存していく活動は、人類の文化的遺産を守る重要な仕事となります。

このように、言語学には明るい未来が広がっています。

私たち人間にとって最も重要なツールである「言語」。

その研究は、これからの社会でますます重要な役割を果たしていくはずです。

それでは最後に、この記事のまとめをしていきましょう。

言語学入門者向けのオススメ図書

東京外国語大学日本専攻が、言語学の推薦図書をリストアップしています。まずはピンとくるものから手に取って、政治学の深遠な世界を感じてみましょう!

基本レベル

千野 栄一『言語学への開かれた扉』

千野 栄一 編『日本の名随筆 別冊93 言語』

町田 健『言語学が好きになる本』

千野 栄一『言語学の散歩』

風間 喜代三・上野 善道・松村 一登・町田 健『言語学』

本格レベル

町田 健・籾山 洋介『よくわかる言語学入門』

西田 龍雄 編『言語学を学ぶ人のために』

宮岡 伯人 編『言語人類学を学ぶ人のために』

小泉 保『教養のための言語学コース』

千野 栄一『言語学のたのしみ』

千野 栄一『注文の多い言語学』

千野 栄一『ことばの樹海』

田中 春美・樋口 時弘・家村 睦夫・五十嵐 康男・倉又 浩一・中村 完・下宮 忠雄『言語学のすすめ』

西垣 通 編『日本の名随筆 別冊88 文字』

まとめ

いかがでしたか?言語学の世界、意外と面白かったのではないでしょうか。

私たちが当たり前のように使っている「言葉」には、実はたくさんの不思議や謎が隠れていたんです。

言語学は、人工知能の開発から外国語教育、言語障害の治療まで、私たちの生活に深く関わる実用的な学問です。

そして何より、「人間とは何か」という大きな問いに迫る、とてもワクワクする研究分野なんです。

これを読んでくれたみなさんも、ぜひ言葉の不思議に目を向けてみてください。

きっと、新しい発見がありますよ!

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