世界の歴史

韓国の歴史から見る日韓関係とは? 反日感情の背景をわかりやすく解説!

はじめに

日本と韓国は地理的に近いだけでなく、古代から交流を重ねてきました。

しかし、近代以降は日本の朝鮮半島(現在の韓国と北朝鮮)に対する支配や、第二次世界大戦、戦後の政治・経済的対立など、多くの衝突を乗り越えてきた歴史を持っています。

そのため、韓国には今でも一定の「反日感情」が存在すると言われることがあります。

どうしてそこまで反日感情が根強いのか?」と疑問に思う日本人の方も多いかもしれません。

そこでこの記事では、古代から近代・現代に至るまでの日韓関係の流れを辿りながら、なぜそのような感情が生まれたのかを解説します!

古代~中世にかけての日韓交流

文化・技術交流の始まり

日本と朝鮮半島の交流は、古くは紀元前からあったとされています。

考古学的な証拠や文献によれば、古代の日本列島には朝鮮半島から稲作や製鉄技術、さまざまな文化が伝わったと言われます。

特に有名なのが、仏教伝来です。

6世紀頃(飛鳥時代)に百済(朝鮮半島の南西部にあった国)から公伝された仏教は、日本の文化に大きな影響を与えました。

寺院建築や仏像制作など、今日の日本文化の基礎にも深く関わっています!

王朝同士の複雑な関係

一方で、7世紀の白村江の戦い(663年)では、日本は百済を支援しましたが、新羅と唐の連合軍に敗れてしまいました

その後、新羅が朝鮮半島をほぼ統一すると、日本との関係は激しく対立する時期と、安定して交易が行われる時期が交互に訪れます。

中世に入ると高麗王朝(918-1392年)や、その後の李氏朝鮮(1392-1897年)が朝鮮半島で長く続きます。

日本側では鎌倉幕府、室町幕府、戦国時代、江戸幕府と変遷していきますが、両国の間では交易が行われる一方で、倭寇(日本の海賊集団)の襲撃があったり、文禄・慶長の役(1592-1598年)に代表されるような大規模な軍事衝突もありました。

これら古代・中世の交流からもわかるように、日韓の関係は決して一方的に対立だけを続けてきたわけではなく、文化・技術のやり取りも行われてきました。

しかし、文禄・慶長の役のような戦乱により、朝鮮の人々は日本に対する警戒心を強く抱くようになったとも言われます。

近代の日韓関係 – 日本の朝鮮半島支配とその影響

日朝修好条規と朝鮮開国

19世紀後半、日本は明治維新を経て欧米に追いつこうと急速に近代化を進めていました。

そんな中、当時の朝鮮(李氏朝鮮)は鎖国的な姿勢をとっていましたが、日本は朝鮮を「開国」させるべく、1876年に不平等条約とも言われる「日朝修好条規」を結びます。

この条約によって朝鮮は開国を余儀なくされ、日本は朝鮮での商業活動などを進めやすくなりました。

しかし、この動きは朝鮮内部で大きな反発を引き起こし、日本に対する不信感も高まっていきます。

日清戦争と日露戦争の影響

さらに19世紀末、日本と清(当時の中国)の間で日清戦争(1894-1895年)が勃発します。

当時、朝鮮は清の属国と見なされていましたが、日本はこれを機に清の影響力を排除し、朝鮮半島での主導権を握ろうとしました。

結果として、日本は勝利し、朝鮮は清の冊封体制から離脱する形に。

日本の影響力が一気に拡大します。

続く日露戦争(1904-1905年)では、日本とロシアが朝鮮半島や満洲(中国東北部)を巡って衝突し、再び日本が勝利を収めました。

これにより、日本は韓国(当時の大韓帝国)に対して大きな影響を及ぼすようになり、最終的には1910年韓国併合へと進んでいきます。

韓国併合と植民地支配

1910年に正式に結ばれた「韓国併合ニ関スル条約」によって、韓国は日本の植民地となりました。

これは韓国の人々にとって非常に衝撃的で、大きな悲しみと屈辱をもたらした歴史的事件です。

植民地支配下では、日本による土地収奪、労働力の搾取、日本語や日本式の教育の強制、姓名の変更を余儀なくされる創氏改名など、数多くの政策が実施されました。

韓国の人々の中には、この時期に学校教育を受けられたことで識字率が上がったという評価をする意見もありますが、やはり支配の現実は厳しく、日本の統治に抵抗する動きが各地で起こります。

三・一独立運動

1919年には、韓国全土で独立を訴える「三・一独立運動」が起こりました。

ソウルをはじめ各地で朝鮮独立を求めるデモ行進や集会が行われましたが、日本当局の弾圧によって多数の死傷者を出しました。

この出来事は韓国の近代史上、特に大きな意味を持っています。

日本に対する抵抗運動の象徴となり、現在でも韓国人の愛国心や反日感情の源流として語られています。

こうした植民地支配期の歴史的背景が、韓国での反日感情を語る上で欠かせない要素と言えるでしょう。

戦後の日韓関係 – 分断と戦後補償の問題

第二次世界大戦終結と朝鮮半島の分断

第二次世界大戦が終わった1945年、日本は連合国に降伏し、朝鮮半島は日本の支配から解放されます。

しかし同時に、米ソの冷戦構造が朝鮮半島に持ち込まれ、北緯38度線を境に南はアメリカ軍、北はソ連軍の占領下に置かれることになりました。

その結果、朝鮮半島は北と南に分断され、1948年に南には大韓民国北には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がそれぞれ成立します。

韓国は日本からの独立を果たしましたが、今度は同じ民族同士が分断されたことで、新たな問題が浮上しました。

日韓国交正常化 – 1965年の「日韓基本条約」

戦後、日本と韓国は長らく公式な国交を結びませんでした。

しかし、政治的・経済的必要性から、1965年に「日韓基本条約」が結ばれ、国交が正常化します。

日本は韓国を「大韓民国政府が朝鮮半島における唯一の合法的な政府である」と認める形を取り、対韓経済協力として資金や技術提供を行いました。

ただし、この日韓基本条約や関連協定において、個人賠償の問題などは十分に解決されていないと韓国側からは批判があります。

「条約で解決済み」とする日本政府の立場と、「個人の請求権はまだ消えていない」という韓国側の立場の食い違いは、今もなお大きな問題として残っています。

日韓の経済格差と在日コリアン問題

戦後、韓国は朝鮮戦争(1950-1953年)という大きな戦乱を経て、復興と経済成長に邁進します。

1960年代~70年代には「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済発展を遂げました。

ただし、当初は日本からの経済援助や企業進出が大きな役割を果たしたと言われています。

一方、日本国内には「在日コリアン」と呼ばれる韓国・朝鮮系住民が多く暮らしています。

彼らの中には、植民地時代や戦時下に強制的に日本に連れて来られた人々の子孫も含まれ、差別や法的地位の問題など多くの課題を抱えてきました。

このような複雑な要因も、韓国での反日感情を考える際には無視できない重要なテーマです。

なぜ韓国人には反日感情が根強いのか?

ここからがこの記事の核心部分!

現在の韓国社会における反日感情が生まれた背景や、いまなお続く理由を詳しく見てみましょう。

植民地支配の記憶

最大の理由として挙げられるのが「植民地支配の歴史」です。

日本による韓国併合と、その後の強圧的な統治により、多くの韓国人が苦しみを味わいました。

特に年配の世代は自身が直接被害を受けたり、身近な家族が被害に遭ったりといった生々しい記憶を持っている場合があります。

また、植民地支配時代の政策や出来事(創氏改名、強制労働、慰安婦問題など)は、韓国の学校教育や社会教育の中でも大きく取り上げられています。

若い世代でも、祖父母や両親からの話、学校の教科書、映画やドラマなどを通じて、日本の植民地支配がいかに過酷であったかを繰り返し知ることになるのです。

戦後補償や歴史認識の食い違い

日韓間の歴史認識問題は、よく報道でも取り上げられます。

日本政府は「1965年の日韓基本条約および請求権協定で解決済み」という立場ですが、韓国側は「それでは十分な補償とは言えない」「個人の請求権はまだ存在する」として、独自の司法判断を下すこともあります。

特に元徴用工(戦時中に日本企業で働かされた人々)の賠償問題や、いわゆる慰安婦問題については、韓国社会で感情的な部分も相まって大きく報じられます。

こうした問題に対する日本の対応が「誠意に欠ける」と感じられることで、反日感情が再燃しやすい環境が続いていると言えるでしょう。

政治利用される反日感情

一部の韓国の政治家が国内向けに支持を得るため、「反日」を利用するケースがあると言われます。

日本に対して厳しい姿勢を示すと、愛国的な行動として支持を集めやすいという事情です。

もちろん、そういった政治的戦略は韓国だけでなく、どの国でも見られるものではありますが、植民地支配の傷がいまだに癒えない韓国では、特に有効な政治ツールになりやすい側面があります。

また、日本側でも時に政治家の発言が韓国国民の感情を逆なでする結果となり、報復的に反日感情が高まる…という悪循環が起きることもあります。

メディア・ネットの影響

近年はインターネットやSNSの普及によって、国境を越えたコミュニケーションが容易になりました。

一方で、過激な意見や誤った情報が瞬く間に拡散されやすいという問題もあります。

韓国の若い世代の中にも、日本に興味を持ってアニメや音楽を楽しむ人が増える一方で、ネット上にあふれる歴史問題に対する感情的な書き込みを見て、反日感情を強める人もいます。

メディア報道も同様で、感情的な見出しや断片的な事実だけがクローズアップされると、負の感情が拡大してしまう傾向があります。

近年の日韓関係 – 政治の対立と民間レベルの交流

政治的な摩擦

近年、日韓関係は政治的に厳しい局面が続いています。

元徴用工問題や慰安婦合意の見直しなど、歴史認識や戦後補償の問題で度々衝突が起きています。

こうした問題は韓国世論を強く刺激し、日本に対する不満や怒りを増幅させるきっかけになります。

一方、日本国内でも「もう韓国には謝罪や賠償は十分にしてきたのではないか?」という声があるため、両国政府の立場は平行線をたどりがちです。

政治レベルでの対立が報道されるたびに、両国の国民感情にも影響が及び、関係修復がなかなか進まない状況が続きます。

スポーツや文化交流

しかし、政治の対立とは裏腹に、スポーツや文化交流の分野では日韓両国の関係は意外と活発です!

サッカーや野球の国際大会では熱い対戦が繰り広げられ、お互いにライバル心を燃やしながらもスポーツマンシップに則った交流が行われています。

また、韓国ドラマやK-POPなどの韓流文化は日本で大きな人気を博し、日本のアニメやゲーム、J-POPも韓国で高い評価を受けています。

こういった「民間レベル」の交流は双方の若い世代を中心に進んでおり、そこでは必ずしも反日・嫌韓感情が先行するわけではありません。

お互いを知りたい若者たち

特に若者層では、お互いの文化に興味を持ち、SNSを通じて直接コミュニケーションを取る人が増えています。

政治家同士はケンカしているけど、普通の日本人や韓国人は仲良くできる」という声も多く聞かれます。

実際、留学や旅行で日本を訪れる韓国人、日本を拠点に活動する韓国人アーティスト、日本語を学ぶ韓国人、逆に韓国語を学ぶ日本人もたくさんいます。

こうした草の根のレベルでの交流が広がることは、両国の未来にとって重要な意味を持っています。

これからの日韓関係はどうなる?

歴史を理解することの大切さ

まず大切なのは、お互いの歴史を正しく理解することです。

日本にとっては、過去に行った朝鮮半島支配の実態や、それによる被害・心の傷をしっかりと認識する必要があります。

韓国側にも、日本が戦後に行った賠償や協力の実績などを正しく理解する動きがあってこそ、本当の対話が可能になります。

政治だけに依存しない関係づくり

政治的な対立が起こりやすいのは事実ですが、民間レベルの交流は着実に続いています!

マスコミの報道だけでなく、実際に日韓双方の人々が直接コミュニケーションを図り、誤解を解きほぐしていく努力がとても大切です。

留学生同士の交流や観光客の増加、企業間の経済連携など、政治の影響を受けにくい部分から少しずつ関係を深めていくことが望まれます。

相互理解と未来志向

韓国の反日感情が一朝一夕に消えることはありません。

植民地時代の苦い歴史があり、多くの心の傷が残っている以上、それは自然なことでもあります。

しかし、未来志向の視点を持ちつつ、その過去をどう乗り越えていくかが問われているのです。

日本でも、世代交代により植民地時代を直接知らない人々が増えており、韓国でも戦争や植民地期を体験した世代は少なくなっています。

だからこそ、過去を風化させるのではなく、お互いの国を理解し合う努力を強めていくことで、新しい形の日韓関係を築いていけるのではないでしょうか。

まとめ

ここまで「日本と韓国の関係性の歴史」や「なぜ韓国人には反日感情が根強いのか?」について、かなり詳しく解説してきました。大きくまとめると、以下のようなポイントが挙げられます。

  1. 古代から中世にかけては文化的交流と軍事衝突が複雑に絡み合っていた
    • 仏教や稲作など、多くの文化が朝鮮半島から日本に伝えられた。
    • 文禄・慶長の役などの軍事衝突もあり、朝鮮側の警戒心を高める要因に。
  2. 近代以降は日本の植民地支配が韓国社会に大きなトラウマをもたらした
    • 日清・日露戦争後、韓国併合条約によって朝鮮半島を支配。
    • 強制労働や日本語の使用強要など、多くの苦難を強いた。
  3. 戦後も両国の歴史認識や補償問題を巡る対立が続いている
    • 日韓基本条約で国交は正常化したが、個人補償や慰安婦問題などは解決が難航。
    • 日本側は「解決済み」、韓国側は「不十分」との主張が平行線。
  4. 反日感情の背景には植民地支配の記憶や教育、政治・メディアの影響がある
    • 被害者意識や歴史教育の影響で強固な感情を持つ人も少なくない。
    • 一方で、若者を中心に日本文化に親しむ人も増え、世代間ギャップが存在。
  5. 日韓の未来は民間交流にかかっている
    • 政治の対立はあっても、スポーツ・文化交流などは活発化。
    • 相互理解を深めることで、より良い関係構築を目指すことができるはず。

歴史を学ぶと、現在の問題の背景がよく見えてきます。

ここで紹介したように、韓国の反日感情には長い歴史的経緯と複雑な感情が折り重なっているのです。

一方で、私たち一人ひとりが相手の事情を知り、お互いの文化や歴史を尊重する姿勢を持つことで、少しずつでも関係改善へつなげられるのではないでしょうか。

日韓双方の社会は、今後もお互いにとって大切な隣国として付き合わざるを得ません。

反日感情や嫌韓感情に翻弄されるのではなく、歴史を踏まえたうえで未来志向の関係を築いていくことが重要です!

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