【サルでもわかる】学問紹介シリーズ

【サルでもわかる】農業工学入門!わかりやすく解説します!

はじめに

みなさん、こんにちは!今日は「農業工学」について、高校生のみなさんにもわかりやすく解説していきたいと思います。

「え?農業って、ただ作物を育てることじゃないの?工学って関係あるの?」そんな疑問を持った人もいるかもしれませんね。

でも実は、現代の農業には最新の科学技術がたくさん使われているんです。

例えば、スマートフォンのGPSを使って田んぼの場所を管理したり、ドローンを使って農薬を散布したり。

こういった技術を使って、農業をもっと効率的に、環境にやさしく、そして安全に行えるようにする。これが農業工学なんです。

農業工学とは?

① 超シンプルに説明すると...

農業工学は、農業の問題を工学的な方法で解決する学問です。

ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「農業をもっと良くするために、科学の力を使う」ということなんです。

身近な例で説明してみましょう。暑い夏の日、私たちは扇風機やエアコンを使って涼しく過ごしますよね。

同じように、ハウス栽培でトマトを育てる時も、暑すぎると植物が枯れてしまうので、温度を管理する必要があります。

そこで農業工学の出番!ハウスの中の温度を自動で管理するシステムを作ったり、省エネで効率の良い換気の方法を考えたりするんです。

他にも、作物の成長に合わせて最適な量の水や肥料を与える灌漑システムを作ったり、重い荷物を楽に運べる農業機械を開発したり。

実は私たちの食卓に並ぶ野菜や果物、お米。その多くが農業工学の技術のおかげで、効率よく、安全に生産されているんです。

さらに最近では、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を使った「スマート農業」という新しい形の農業も始まっています。

例えば、スマートフォンで農場の様子を確認したり、センサーを使って作物の生育状態をチェックしたり。

こうした技術を使えば、経験の浅い農家さんでも、ベテランの農家さんのような高度な農業ができるようになるんです。

このように農業工学は、昔ながらの農業の知恵と最新の科学技術を組み合わせて、より良い農業を実現しようとしている学問なんです。

② 農業工学は何の役に立っているの?

「へぇ、農業工学って色々なことをしているんだね!」そう思った皆さん、ここからはもっと具体的に、農業工学が私たちの生活にどんな影響を与えているのか見ていきましょう。

農地の整備や保全

例えば、山の斜面を削って作る棚田。ただ土を削ればいいと思うかもしれませんが、実はそう簡単ではありません。

雨が降った時に土が流されないよう、斜面の角度を計算したり、水はけの良い土づくりをしたり。こういった技術があるからこそ、昔から日本の棚田は守られてきたんです。

水資源の有効活用

作物を育てるには水が必要不可欠ですよね。でも、水のやり過ぎは根腐れの原因になりますし、水が少なすぎれば作物は枯れてしまいます。

そこで農業工学では、作物の種類や生育状態、天候などに応じて、最適なタイミングで最適な量の水を供給する灌漑システムを開発しています。

環境にやさしい農業技術の開発

例えば、農薬や化学肥料の使用量を減らすために、天敵の昆虫を利用した害虫駆除方法や、微生物を活用した土づくりの研究が行われています。

また、農業で使う電気や燃料を節約するための技術開発も進んでいます。太陽光発電を利用したハウス栽培や、省エネ型の農業機械の開発などがその例です。

農作業の効率化や省力化

日本の農家さんの多くは高齢化が進んでいます。重い荷物を運んだり、広い農地を管理したりするのは、体力的にとても大変です。

そこで農業工学では、GPSを搭載した自動運転トラクターや、アシストスーツを使った重労働の軽減など、農家さんの負担を減らすための技術開発を行っています

農産物の貯蔵や加工技術の改良

せっかく収穫した作物も、保存方法が悪いとすぐに傷んでしまいます。特に気温の高い季節は要注意です。

そこで農業工学では、温度や湿度を細かく管理できる貯蔵施設の開発や、鮮度を保ったまま長距離輸送する技術の研究などを行っています。

さらに最近では、植物工場という新しい農業の形も生まれています。

植物工場とは、建物の中で人工的に光や温度、湿度などを管理して作物を育てる施設のことです。

天候に左右されず、年中安定した生産ができる上、農薬もほとんど使わなくて済むため、安全で安心な野菜を提供できます。

このように農業工学は、私たちの食を支える縁の下の力持ちとして、日々進化を続けているんです。

「農業なんて古くさいもの」なんて思っていた人も、実はとってもハイテクな世界だということがわかってきたのではないでしょうか。

③ どんな学問領域に分かれているの?

ここまで農業工学の役割について見てきましたが、「具体的にどんなことを学ぶの?」という疑問が湧いてきた人もいるのではないでしょうか。

実は農業工学は、大きく分けて3つの分野に分かれています。それぞれの分野について、詳しく見ていきましょう。

農業土木学・農村計画学

まずは「農業土木学・農村計画学」から説明していきます。

この分野は、農業を行うための「場所」や「環境」を整備する学問です。

例えば、水田を作る時。ただ平らな土地があれば良いわけではありません。

水田には水を張る必要があるので、水が漏れないように土を固める技術が必要です。

また、大雨が降った時に田んぼが流されないよう、土手を作ったり排水路を整備したりすることも大切です。

さらに、水田に水を引くための用水路も必要です。川から水を引いてくる時、どのくらいの量の水が必要で、どんな経路で運べば効率が良いのか。

こういった計算や設計も、農業土木学の重要な仕事なんです。

農村計画学では、農業を行う地域全体の計画を考えます。

例えば、トラクターなどの大型機械が通れるように道路を整備したり、農作物を効率よく運び出せるように集荷場の場所を決めたり。

最近では、観光農園や農家レストランなど、農業と観光を組み合わせた農村づくりも注目されています。

農業環境工学

次は「農業環境工学」です。この分野では、農業を行うための「道具」や「技術」を研究します。

例えば、トラクターやコンバインなどの農業機械の開発。最近では、GPSを使って自動で走れるトラクターや、細かい農薬散布ができるドローンなども登場しています。

また、ハウス栽培の技術も農業環境工学の重要なテーマです。

ハウスの中の温度や湿度、二酸化炭素濃度などを最適に保つにはどうすればいいのか。

省エネで効率の良い暖房システムや換気システムの開発なども行っています。

さらに、LED照明を使って植物の生育をコントロールする技術や、養液栽培(土を使わず、養分を含んだ水で植物を育てる方法)の研究なども進んでいます。

農業情報工学

最後は「農業情報工学」です。これは比較的新しい分野で、ICTやAIなどの最新技術を農業に活用する研究を行っています

例えば、センサーを使って土の状態や作物の生育状況を監視し、そのデータをスマートフォンで確認できるシステムの開発。

気象データと作物の生育データを組み合わせて、収穫時期を予測したり、病気や害虫の発生を予防したりすることもできます。

また、ベテラン農家さんの経験や勘をAIに学習させて、誰でも高度な農業ができるようにする研究も進んでいます。

このように農業工学は、土木・環境・情報という3つの異なる視点から、農業の課題解決に取り組んでいるんです。

「土木」で基盤を作り、「環境」で効率を上げ、「情報」で精度を高める。この3つが組み合わさることで、現代の農業は支えられているんですね。

農業工学の最先端研究!

さあ、いよいよ農業工学の「今」についてお話ししていきましょう。

最近の農業工学では、とってもワクワクするような研究が次々と行われているんです。

ロボット技術の活用

まず注目したいのが、ロボット技術を使った研究です。

例えば、カメラとAIを搭載した自動走行トラクター。畑の端から端まで、まっすぐ正確に耕すことができます。

夜でも作業ができるので、農家さんの労働時間を大幅に減らすことができるんです。

果物の収穫ロボットの開発も進んでいます。カメラで果物の色や形を認識し、熟したものだけを優しくもぎ取ります。

人間の目と同じように、いや、それ以上に正確に果物の状態を判断できるんです。

AIを活用した農業支援システム

次に紹介するのは、AIを使った作物の生育予測システムです。

気温や日照時間、雨量などのデータから、作物の生育状態を予測します。

例えば「あと1週間後にトマトが何個収穫できるか」とか「今度の台風で作物に被害が出るかもしれない」といったことが、事前にわかるんです。

さらに、スマートフォンで葉っぱの写真を撮るだけで、病気や害虫の被害を発見できるアプリも開発されています。

早期発見・早期対策で、農薬の使用量を減らすことができるんです。

環境問題への挑戦

農業工学は環境問題の解決にも取り組んでいます。

例えば、メタンガスの削減研究。田んぼからは温室効果ガスのメタンが発生することをご存知ですか?

このメタンの発生を抑える方法として、田んぼの水管理の仕方を工夫したり、特殊な肥料を開発したりする研究が進められています。

また、農業で使う電力を再生可能エネルギーで賄う取り組みも始まっています。

ソーラーパネルを設置したハウスでは、昼間は太陽光発電で空調を動かし、余った電気は夜間の照明に使います。

宇宙農業への挑戦

最後に紹介するのは、まさに「最先端」。宇宙農業の研究です。

将来、月や火星に人類が住むようになった時、現地で食料を作る必要がありますよね。

でも宇宙には、地球のような大気も、肥沃な土も、十分な重力もありません。

そんな極限環境でも作物を育てられるよう、特殊な栽培装置や人工土壌の開発が進められているんです。

実は、この研究は地球の農業にも役立っています。

例えば、砂漠化が進む地域での農業や、災害で農地を失った地域での緊急的な食料生産にも応用できるんです。

未来の農業のかたち

このように、農業工学の研究は日々進化を続けています。

でも大切なのは、新しい技術を「どう使うか」。農家さんの経験や知恵と、最新技術をうまく組み合わせていくことが重要なんです。

そして、その先にある目標は「持続可能な農業」の実現。

環境を守りながら、効率よく、安全な食料を生産していく。

その実現のために、農業工学は今日も新しい挑戦を続けているんです。

まとめ

いかがでしたか?農業工学の世界、思った以上に広くて深いものだと感じていただけたでしょうか。

私たちの食卓に並ぶ野菜や果物、お米。その一つ一つに、実は最新の科学技術が詰まっているんです。

農地を整備し、効率的な栽培方法を研究し、環境にも優しい技術を開発する。

そんな農業工学は、これからの持続可能な社会を作る上で、ますます重要になっていくことでしょう。

みなさんも、次に食事をする時、その食べ物がどのように作られたのか、少し想像してみませんか?

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