世界の歴史

イタリアンの歴史を徹底解説!古代ローマから現代までの魅力とは

イタリア料理、通称「イタリアン」は、世界中の食卓で愛される存在となっています!

ピザやパスタといった身近な料理だけでなく、地域色あふれる豊富なメニューがあるのも大きな魅力ですよね。

そんなイタリアンのルーツや発展の流れを知ると、より一層その味わいを楽しめるはずです。

今回は、イタリアンの歴史について初学者の方にもわかりやすいように、時代を追って解説していきます!

なお、イタリアの歴史についてわかりやすく解説した記事がありますので、こちらも是非ご覧になってください!

イタリアンの歴史のはじまり

「イタリア」という国ができる前の食文化

現在のイタリアは、南北に細長いブーツ型の半島が国土の中心となっています。

しかし、統一国家としての「イタリア王国」が成立したのは1861年と、実は比較的新しい出来事でした。

それまでは小国や都市国家がひしめき合い、それぞれが独自の文化や料理を育んでいたのです。

当時、半島各地で盛んに行われていた農業や漁業、そして地中海を生かした海運は、イタリア料理に豊富な食材をもたらしました。

オリーブ、ブドウ、小麦など、地中海性気候に適した農作物が育ちやすかったことも、イタリア料理の発展に大きく寄与しています。

古代ローマ時代に芽生えた食の喜び

イタリアンの歴史をひもとくとき、避けて通れないのが古代ローマです。

古代ローマが繁栄していた紀元前8世紀頃から西暦5世紀頃にかけては、政治や文化だけでなく、「食」においても革新的な変化がありました。

古代ローマ人は、宴会(バンケット)を盛大に催すことで知られていました。

そこで提供される料理は多種多様で、当時の地中海世界から取り寄せた珍しい食材やスパイスがふんだんに使われたそうです。

ワインやパン、オリーブオイルのようなベースとなる食材がこの頃からすでに広く浸透しており、現在のイタリアンの礎を形づくっています。

また、古代ローマ人は「ガルム」という魚醤も使っていました。

これは魚を塩漬けにして発酵させた調味料で、後のさまざまなソースの原型ともいわれています。

今のイタリア料理におけるトマトソースなどの発展を考えると、このような液体調味料の存在は非常に興味深いですよね!

中世からルネサンスへ:地域性が花開く

中世ヨーロッパとイタリアの分断

西ローマ帝国が崩壊した5世紀以降、ヨーロッパ全体が混乱の時代を迎えます。

イタリア半島も例外ではなく、ゲルマン民族やビザンツ帝国の支配下に入ったりと、さまざまな外部勢力の影響を受けました

しかし、この混乱期の中でも都市国家や領主などの小さな政治単位が存在し、各地で独自の文化や伝統が守られ続けていました。

たとえばヴェネツィアジェノヴァといった海港都市では海洋交易がさかんで、異国のスパイスや食材が豊富に入り、地域ごとに独自のレシピが生み出されていたのです。

修道院が伝えた食の技術

中世ヨーロッパにおいて、修道院は学術や医療、農業技術などを発展・伝承する大切な役割を担っていました。

中でも修道僧たちはビールやワインを醸造し、さまざまな薬草やスパイスを使いこなしていたことが知られています。

イタリアにおいても修道院は例外ではなく、パンの製造方法やハーブの利用法、ワインの醸造技術などが洗練され、地域の人々へ広がっていきました。

現在でも、イタリアの各地に点在する修道院で作られる伝統的な食材やリキュールは、高い評価を受けています。

ルネサンスと食文化の華やかさ

14世紀から16世紀にかけてのルネサンス期は、イタリアが文化の中心地として輝いていた時代です。

芸術や学問が大きく飛躍し、同時に食文化も一段と豊かになりました。

この時代には宮廷料理人たちが腕を競い合い、華やかな宴会が行われました。

芸術家たちもこうした饗宴に招待され、絵画や建築と同じように「料理」をひとつの芸術としてとらえる考え方が芽生えていったのです。

また、ルネサンス期のイタリアはヨーロッパ各地との交易ルートを確立しており、小麦やオリーブオイルだけでなく、チーズや塩漬け肉などの保存食の質も向上しました。

こうして洗練された食文化が、地中海の豊富な食材と融合して、今日私たちが知っているイタリアンの原型に近づいていったのです。

新大陸との出会いとトマトの到来

トマトはもともとイタリアの野菜ではなかった!

イタリア料理で欠かせない食材といえば、真っ赤なトマトですよね!

しかし、トマトは新大陸(アメリカ大陸)原産の植物で、16世紀以降の大航海時代にヨーロッパへもたらされました。

ぴろき

え!トマトってアメリカ原産だったんだ!


はじめの頃は観賞用の植物として扱われ、食用として広まるまでには長い時間がかかったといわれています。

なぜなら、ヨーロッパではナス科の植物は毒があると恐れられ、その一種であるトマトも敬遠されていたからです。

トマトソースとパスタの出会い

やがてイタリアの気候がトマトの生育に適していることから、徐々に栽培が広がっていきます。

さらに、食べてみると酸味とうま味が絶妙に合わさったトマトは、地中海性気候に育まれたオリーブオイルやハーブ、そしてパスタと驚くほどよく合う食材でした!

18世紀から19世紀にかけて、トマトソースがパスタと組み合わせられるようになり、その人気は瞬く間にイタリア全土へと広がりました。

今では「イタリア料理=トマトソース」というイメージが定着するほど、重要なポジションを確立しています。

各地方に根付く独自のイタリアン

北イタリアの特徴:バターとクリームを使ったまろやかさ

イタリアの北部では、フランスやドイツに近い気候風土と文化の影響を受け、バターやクリームを使った濃厚でまろやかな味わいが特徴的です。

ミラノのリゾットやボローニャのラグーソースなどが有名ですが、それぞれの地方で微妙に調理法や味付けが異なります。

このように、北イタリアの料理は「ラグジュアリー感」がある一方で、寒冷な気候もあり栄養価やカロリーを高めにする工夫が昔から施されていました。

中部イタリアの特徴:オリーブオイルとハーブを生かす

中部イタリア、特にトスカーナ地方やローマ周辺は、オリーブオイルを主役に据えたシンプルで素材の味を最大限生かす料理が多いです。

トスカーナの名物「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(厚切りTボーンステーキ)」は、その最たる例といえるでしょう。

新鮮なオリーブオイル、ローズマリーやセージなどのハーブ、そして高品質の牛肉をさっと焼き上げるだけで、ダイナミックかつ素材の旨味を凝縮した逸品ができあがります!

南イタリアの特徴:太陽の恵みとトマトの活用

南イタリアといえば、太陽が燦々と降り注ぐ温暖な気候が魅力。

シチリアやナポリなどが有名ですが、ここではトマトやナス、ズッキーニなどの野菜がとても豊富に採れます

トマトソースを使ったピザやパスタはもちろん、オリーブやケッパー、アンチョビなどの地中海を感じさせる食材が大活躍しています。

特にナポリはピッツァ・マルゲリータ発祥の地として有名!

シンプルな食材から生まれる、素朴で力強い味わいこそが南イタリア料理の真骨頂といえるでしょう。

イタリア移民と世界への広がり

アメリカへの移民とイタリアンの普及

19世紀から20世紀にかけて、多くのイタリア人が新天地を求めてアメリカへ移民しました。

特にニューヨークをはじめとする大都市には、イタリア系移民コミュニティが形成され、イタリアの味を現地に根付かせていきました。

こうしてアメリカの食文化にイタリア料理が溶け込み、ピザやパスタがアメリカで大人気となります。

さらにアメリカ式にアレンジされたイタリア料理(いわゆる「イタリアン・アメリカン」)も生まれ、逆輸入されるような形でイタリアに影響を与える場面も見られました。

戦後の経済発展と観光ブーム

第二次世界大戦後、イタリアは経済の復興を進めていきました。

一方で欧米各地からイタリアを訪れる観光客が増加し、その際に現地で味わった本場のイタリアンに魅了された人々が、帰国後にレストランを開業したり、イタリア食材を輸入したりと、世界規模でのイタリアンブームにつながりました。

スローフード運動と現代イタリアンの進化

6-1. スローフード運動の誕生

1980年代後半にイタリアで生まれた「スローフード運動」は、ファストフード文化に対抗し、地域の伝統食材や伝統的な調理法を守り伝える運動です。

発祥の地は北イタリアのピエモンテ州で、地元の食材を大切にし、丁寧な調理法で時間をかけて味わうという思想が広がっていきました。

ぴろき

「ていねいな暮らし」に通じるものがあるね!


この運動によって、地方に受け継がれてきた伝統料理が再評価され、高品質なオリーブオイルやチーズ、ワインなどの生産者が世界的に注目を集めるようになりました。

モダン・イタリアンの台頭

伝統を重んじながらも、新しい食材や技術を積極的に取り入れるシェフたちも登場します。

いわゆる「モダン・イタリアン」と呼ばれるスタイルで、地元の旬の食材を中心に、フレンチやアジアンのテクニックも駆使しながら、イタリア料理に革新をもたらしています。

それでもイタリアンは常に「シンプルに素材の味を生かす」という基本精神を忘れません。

トマトソースやオリーブオイル、バジルなど、昔から馴染みのある食材を大切にしながらも、組み合わせの工夫によって、新たな境地を切り開いているのです。

まとめ

ここまで、イタリアンの歴史を古代から現代までざっと見渡してきました。

イタリアンは、古代ローマに端を発し、中世・ルネサンス期を経て、新大陸からもたらされたトマトとの出会いにより大きく進化してきました。

そして、イタリア特有の地域性と、海外移民や観光ブームによる世界的普及を通じ、地球のあらゆる場所で愛される料理となったのです。

さらに、スローフード運動やモダン・イタリアンの台頭により、伝統を大切にしつつも新たな技術やスタイルを柔軟に取り入れる姿勢が見られます。

これこそイタリアンが長い歴史のなかで培ってきた力強さと多様性の証といえるでしょう。

ぜひ、皆さんもイタリアンの歴史を思い出しながら、お気に入りのパスタやピザを味わってみてください!

食事がいっそう豊かに感じられるはずです。

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