ギリシャは、世界史の中でも特に長く豊かな歴史を持つ国として知られています!
しかし、聞いたことはあっても、実際のところ「いつ、どのような出来事が起こったのか」がイメージしにくい方も多いかもしれません。
そこで本記事では、ギリシャの歴史を初学者の方向けにわかりやすく解説していきます。
古代文明のはじまりから近現代に至るまで、幅広いトピックをやさしい文体でまとめました。ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
ギリシャ史の大まかな流れをつかもう!
ギリシャの歴史は、大きく以下のような時代に分けられます。
- エーゲ文明(ミノア文明・ミケーネ文明)
- ポリス(都市国家)の形成と古代ギリシャの黄金時代
- ヘレニズム時代
- ローマ帝国支配下のギリシャ
- ビザンティン帝国(東ローマ帝国)時代
- オスマン帝国支配時代
- 近現代のギリシャ(独立戦争~現代)
これをまず頭に入れておくと、ギリシャの歴史を整理しやすくなります!では、もう少し詳しく見ていきましょう。
エーゲ文明のはじまり:ミノア文明とミケーネ文明
ミノア文明(前3000年頃~前1450年頃)
ギリシャの歴史を語るうえで外せないのが、エーゲ海域を中心に花開いた「エーゲ文明」です。
エーゲ文明の代表格が、クレタ島で栄えたミノア文明。考古学者のエヴァンズが発見したクノッソス宮殿が有名ですよね。
- 特徴:絢爛豪華な宮殿建築と高度な海上交易!
- 中心地:クノッソス宮殿(壁画や複雑な建築構造が魅力的)
当時のミノア文明は、文字として「線文字A」を使用していたのですが、まだ完全には解読されていません。
海洋交易を通じて、エジプトやメソポタミアなどの他地域とも交流があったと考えられています。
ミケーネ文明(前1600年頃~前1200年頃)
続いて、ギリシャ本土(ペロポネソス半島)を中心に栄えたのがミケーネ文明です。
こちらはシュリーマンの発掘で有名になりました。
- 特徴:巨大な城壁(獅子門など)や副葬品の黄金マスクが有名!
- 中心地:ミケーネ、ティリンスなど
このミケーネ文明では、「線文字B」が使われ、こちらは解読に成功しています。
後にトロイア戦争で名を轟かせるギリシャ勢の原型がこの頃にあったといわれています。
ホメロスの叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』の舞台となったのも、このミケーネ世界をモデルにしているとも考えられています。
ポリスの形成と古代ギリシャの黄金時代
暗黒時代(前12世紀~前8世紀頃)
ミケーネ文明が崩壊した後、文字史料がほとんど残らない時代があります。
これを暗黒時代(ギリシャ暗黒時代)と呼んでいます。
この時期は人口が減少し、政治・経済が停滞したとされます。
しかし、一方で部族社会が再編されていき、やがて都市国家(ポリス)の基礎が作られていきました。
ポリスの成立と特徴
暗黒時代が終わると、ギリシャ各地にポリス(都市国家)が成立します。
ポリスは城壁に囲まれ、中心部にアゴラ(公共広場)があり、住民が集まり議論や祭りを行う空間でした。
ポリスごとに制度や文化が異なる点は面白いところです。
特にアテネとスパルタは、政治体制や生活様式がまったく異なっていたことで知られています。
アテネでは民主政治が発展し、スパルタは軍事国家として有名ですね。
古代ギリシャの黄金時代
ポリスが台頭する中、ギリシャ世界を巡る大きな出来事としてペルシア戦争(前500年頃~前449年頃)があります。
アケメネス朝ペルシアの侵攻を、アテネやスパルタを中心としたギリシャ連合軍が撃退したことで、ギリシャ世界の団結感や自信が高まりました!
その後、アテネを中心に文化が大いに花開きます。いわゆる古代ギリシャの黄金時代です。
哲学者のソクラテス、プラトン、アリストテレスの思想、パルテノン神殿の建築、美術・演劇などが次々と開花!
今でも私たちの文化や学問に大きな影響を与えています。
ただし、ポリス間の対立もありました。
特に有名なのがアテネとスパルタの戦いであるペロポネソス戦争(前431年~前404年)。
最終的にアテネが敗北し、古代ギリシャの黄金時代は徐々に衰えていきます。
ヘレニズム時代:アレクサンドロス大王の活躍!
マケドニアの王、フィリッポス2世がポリスをまとめあげ、息子のアレクサンドロス大王が東方へ遠征!
エジプトからペルシア、インド北西部まで広大な領土を征服し、ギリシャ文化とオリエント文化が融合した新しい文化圏が形成されました。
これがヘレニズム時代(前323年~前30年頃)です。
- 特色:コイネーと呼ばれる共通ギリシャ語の普及!数学や天文学も発展!
- 代表都市:アレクサンドリア(エジプト)、アンティオキア(シリア)など
アレクサンドロスの没後、その広大な帝国は複数の王国(プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリアなど)に分裂しますが、ヘレニズム文化は地中海から中東一帯に深く浸透しました。
この時期の美術・彫刻も独特で、ラオコーン像などはその迫力と躍動感で有名ですね。
ローマ帝国支配下のギリシャ
その後、地中海世界は勢力を拡大したローマ帝国によって支配されるようになります。
ギリシャも例外ではなく、前2世紀頃から徐々にローマの影響下に組み込まれました。
- 前146年:コリントがローマによって破壊され、ギリシャ本土はローマの属州化
- 前30年:エジプトがローマに併合され、ヘレニズム王朝も消滅
とはいえ、ギリシャ文化はローマに強い影響を与えました。
ローマの建築や哲学、神話などはギリシャ文化を吸収し、発展させていきます。
ローマ人はギリシャの芸術を高く評価し、ギリシャ語を学ぶ知識人も多かったのです!
ビザンティン帝国(東ローマ帝国)の時代
ローマ帝国が東西に分裂すると、ギリシャは東ローマ帝国側に属し、首都コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を中心とするビザンティン帝国の一部となります。
ビザンティン帝国は、ギリシャ語を公用語として採用し、正教会(ギリシャ正教)を軸とした独特の文化を築きあげました。
ビザンティン帝国は約1000年続きましたが、1453年にオスマン帝国によって首都コンスタンティノープルが陥落。
ここで、東ローマ帝国は歴史的に幕を閉じます。
オスマン帝国支配下のギリシャ
1453年、コンスタンティノープルの陥落とともに、ギリシャはオスマン帝国の支配下に組み込まれていきました。
長い期間、ギリシャ人は重税を課されながらも信仰(ギリシャ正教)を守り、独自の言語と文化を維持していきます。
オスマン帝国の支配下では、ギリシャの人々は「ルム・ミッレト(ローマ人共同体)」という枠組みの中で生活し、宗教的自治をある程度認められていました。
この時代は、ギリシャ文化にとっては苦難の時代でもありましたが、一方でヨーロッパ諸国から「古代ギリシャの発祥地」という認識が高まり、徐々に独立に向けて動きが加速していくことにもつながります。
近現代のギリシャ:独立戦争から現代まで
ギリシャ独立戦争(1821年~1829年)
19世紀になると、ヨーロッパ全体にナショナリズムの高まりが見られ、ギリシャでも独立の機運が盛り上がります。
1821年にギリシャ人が蜂起し、独立戦争が始まりました。
オスマン帝国とイギリス・フランス・ロシア連合軍の間で争いが起こり、最終的に1829年にアドリアノープル条約が結ばれ、ギリシャの独立が事実上承認されます。
そして1830年には正式にギリシャ王国として独立が確立します!
第一次・第二次世界大戦とギリシャ
その後、バルカン半島の情勢は複雑に変化し、ギリシャもたびたび紛争に巻き込まれました。
第一次世界大戦では連合国側で参戦、第二次世界大戦ではイタリアやドイツの侵攻に対して抵抗を続けるも、一時的に占領されました。
第二次世界大戦後は、国内で共産勢力と政府軍が対立し、ギリシャ内戦(1946年~1949年)が起こります。
最終的に政府軍が勝利し、西側陣営としてNATOに加盟。
1952年、正式にNATOのメンバーとなり、ヨーロッパとの関係を深めていきました。
現代ギリシャ
その後、1967年には軍事クーデターが起き、ギリシャ軍事政権時代(1967年~1974年)が続きましたが、1974年の民主化によって王政が廃止され、共和制へ移行。
1981年には欧州共同体(現在のEUの前身)に加盟。
以後、ヨーロッパの一員としての道を歩んでいます。
2004年にはアテネオリンピックを開催し、注目を集めました。
近年は金融危機などの問題もありましたが、豊かな文化遺産と観光資源に支えられ、観光立国として多くの人を惹きつけています!
エーゲ海に点在する美しい島々や、アクロポリスをはじめとする世界遺産は今も世界中の旅行者の憧れです。
まとめ:ギリシャの歴史は、世界史の縮図!
ギリシャの歴史は、エーゲ文明の誕生からはじまり、ポリスの形成、ペルシア戦争やポリス間の対立、アレクサンドロス大王の遠征で一気に東方まで勢力を広げたヘレニズム時代、ローマ帝国やビザンティン帝国、オスマン帝国の支配を経て、最終的に独立を勝ち取ったという壮大なドラマです!
その長い歴史の中で育まれた文化や思想は、世界中に大きな影響を与えています。
哲学や芸術、建築、スポーツ(オリンピック)など、多くの分野で「ギリシャ発祥」といわれるものが多いのも納得ですよね。
今もなお、観光地として世界的に人気を誇るギリシャは、こうした複雑かつ豊かな歴史を背景に持っているからこそ、多彩な魅力を放ち続けているのではないでしょうか。
ぜひ一度、ギリシャを訪れて、神話と歴史が交差する土地の空気を肌で感じてみてください!