キャリア・人生論

人生が充実する時間の使い方とは?限りある時間の使い方を学ぼう

「あー、時間が足りない!」

一流企業で働く35歳のサラリーマン、田中太郎さん。出世も早く、仕事は順調。プライベートでは、愛する妻と2歳の子供がいます。週末には、大切な友人たちとの時間も大切にしています。

「仕事もプライベートも、どちらも充実させたい。でも、時間が全然足りない…」

太郎さんのように、仕事、家族、友人、そして自分自身の時間… 全てを大切にしたいと願う人は多いのではないでしょうか? 現代社会において、時間の使い方は誰もが抱える悩みの種です。

人生は4000週間しかありません。この限りある時間を使って、できるだけ充実した生活を送りたいですよね。

この記事では、まったく異なる3つの学問、すなわち経済学、芸術学、量子力学の力を借りることで、自分にあった時間配分を計画する方法を学んでいきます!

時間配分が難しい理由

正解がない

太郎さんのように、仕事、家族、友人、全てを大切にしたい人もいれば、仕事に集中したい人、家族との時間を最優先したい人など、人によって大切なものは違います。

ですから、「こういう風に時間を配分すべき!」という画一的な答えは存在しないのです。賃貸vs持ち家論争、インデックス投資vsアクティブ投資論争と同じ構図ですね。

優先順位が人それぞれ異なるのです。

時間は有限

これはもう本当に至極当たり前のことなのですが、時間は誰にとっても平等に与えられた有限な資源です。

どんなに優秀な太郎さんでも、1日は24時間しかありません

未来は予測不可能

例えば太郎さんの場合、急に重要な顧客との接待が入ったり、子供が熱を出して保育園から呼び出されたり… 分刻みのスケジュールを設計していても、どうしたって想定外の出来事は付きまとう。

予定通りにいかないのが人生なのです

感情の揺らぎ

「今日は疲れたから、早く帰りたい…」「子供と遊ぶのは楽しいけど、たまには一人でゆっくりしたい…」 人間は感情に左右される生き物。

土曜日は一日英語の勉強に充てよう!と思っていても、朝起きて布団の中でぐずぐずとスマホをいじってしまうのがオチ 。

常に合理的な判断は難しいものです。

では、どうすれば太郎さんのように、限られた時間の中で、仕事もプライベートも充実させることができるのでしょうか?

こんな時は、リベラルアーツの出番です。

時間配分を経済学・芸術学的視点から考える

まずは経済学芸術学の2学問に参戦いただきましょう。それぞれの学問に特有の考え方から、時間配分の意思決定に役立つ学びを抽出していきます。

経済学

経済学は、お金にまつわる個人や政府の意思決定について分析する学問です。効率性と効用のバランスを考え、限られた資源を最大限に活用するための思考法を提供してくれます

例えば、個人の収入から最大の満足度を得るために、何にどれくらいのお金を投じればよいのか?日本をより良くしていくために、何に優先的に投資すればよいのか?

そんなことを考える学問ですから、直接役に立つ学びがありそうですね。

極めて合理的な学問ですから、「そうだよね」と納得できるところも多いと思います。

キーワードは機会費用サンクコスト限界効用逓減の法則比較優位の4つです。

機会費用

ある行動を選択することで失われる他の選択肢の価値のことを、機会費用といいます。

太郎さんの場合、夕方以降の時間を家族と仕事どちらに振り分けるか、で悩むことがあるでしょう。

その際、夕食を家族と食べることで得られる「家族との団らん」や「子供の成長を見守る喜び」といった価値と、残業して仕事を終わらせることで得られる「昇進の可能性」や「収入増加」といった価値を比較検討し、より大きな価値を得られる選択をしようとする。

これが機会費用という概念です。

結構何気なくやっていることですよね。

限界効用逓減の法則

ある財やサービスを消費するほど、追加的な満足度は下がっていくという法則を、限界効用逓減の法則と言います。

時間配分においても、同じ活動に長時間費やすよりも、複数の活動に時間を分散させた方が、全体的な満足度が高まる可能性がありますね。

いくら仲の良い友達でも、24時間ぶっ続けで一緒にいるよりも3時間のお茶会を8回に分けて行った方が、総合的な満足度は高いですよね。

そんな感じで、例えば週末はずっと子供と遊ぶのではなく、午前中は家族と過ごし、午後は一人で趣味を楽しむ時間を作る、など美味しいとこどりをする、という考え方ができますね。

サンクコスト

過去にかけた時間や費用は、将来の意思決定に影響を与えるべきではないという考え方をサンクコストと言います。

時間配分においては、「今までこんなに時間をかけてきたから…」という理由で、非効率な活動を続けるのは避けなければなりません。

例えば仕事で、「このプロジェクト、もう終わりが見えないけど、結構資金投じちゃったからな…」と、ダラダラと続けてしまうこと、ありませんか?

人間だれしも、撤退の判断は難しいものです。ですが、サンクコストという概念を知っていれば、「惰性で続けてしまっていないか?本当はやめるべきではないか?」と疑うことができるかもしれません。

過去の努力に固執せず、現在の状況を冷静に判断し、将来の利益を最大化する選択をすることが重要です。

比較優位

経済学では、それぞれの人が得意なことに特化し、互いに協力することで、全体としての生産性を高めることができると考えます。

時間配分においても、自分が得意なことに時間を集中し、不得意なことは他の人に任せる、あるいは外部サービスを利用する、といった方法で効率化を図ることができます。

例えば太郎さんの場合、家事代行サービスを利用することで、家事にかける時間を削減し、家族や自分自身のために使える時間を増やすことができます。

と、ここまで経済学的なアプローチで時間配分について考えてきました。

でもみなさん、こう思いませんでした?

「そんなん知っとるわ!合理的に考えても解決できないから困っとるんじゃい!」

そう、経済学的な観点では、いかにもAIやコンサルタントが教えてくれそうな、合理的な回答しか得られません

ここに、単一の視点でモノを見ることの貧弱さ・心もとなさが垣間見れます。

そこで今回は、合理性とは正反対の感性的な学問である芸術学を参照することで、この問題を別の角度から検討してみることにしましょう。

芸術学

一見、時間配分とは関係なさそうに思える芸術学ですが、感性直感を重視する点は、時間配分においても重要です。

キーワードは、余白集中と解放です。

余白の美学

絵画や音楽における余白は、想像力を刺激し、作品に深みを与えます。

流行りのポップスソングでも、イントロ、間奏、アウトロといった、歌詞のない時間があることでメリハリが生まれ、歌詞のメッセージ性が引き立ちます。

休符を効果的に活用することで、聞き手にメロディを印象付けることもできますね。

時間配分においても、予定を詰め込みすぎず、余白を設けてみるのはどうでしょうか。

おそらく心の余裕が生まれ、創造性を育むことができます。

適切に時間を配分することで可能な限り多くのことを成し遂げたい!とつい考えてしまいがちですが、週に一度は何も予定を入れない日を作る、などをすることで心にゆとりが生まれ、むしろ全体の生産性は上がるかもしれません。

集中と解放

芸術活動には、集中と解放が必要です。

質の良い作品に集中的に触れる時間が無ければ、良いアウトプットは生まれません。

時間配分においても、集中する時間とリラックスする時間をバランスよく組み合わせることで、効率と質を高めることができます。

太郎さんの場合、仕事中は集中して取り組み、休憩時間にはしっかりと休息を取る。

休日はアウトプットではなくインプットに専念する。

などが考えられるでしょう。

経済学×芸術学を組み合わせた新たな視点

ここまでを見ると、経済学と芸術学は、本質的に相いれない、水と油のような関係性に見えてしまいますね。

しかし、対立構造ではなく単に複数の「モノの見方」がある、と認識することが重要です。

経済学は、合理性と効率性を追求し、一日一日を最善のものにしていくための方法論を提供してくれています。

一方で芸術学は、もう少し長い時間軸で見た時、例えば一週間単位での生活リズムに対して示唆を与えてくれています。

しっかりと計画を立てて、一日一日を淡々と積み上げていく。でも、それだけでは疲れてしまうしやる気や創造性が徐々に停滞してしまうから、定期的に休みを取り、英気を養う。

この考えは、複数の視点を持ち合わせているからこそ生まれるのです。

では、インプットとアウトプットのリズムを意識しながら一日一日を合理性をもって過ごしていれば時間配分はOKといえるのか?

Yesともいえますが、ここではもう一つ新たな視点を追加してみましょう。それは自然科学からの刺客、量子力学です!

時間配分を量子力学的視点から考える

「え、量子力学?!」と驚かれるかもしれません。しかし、量子力学が示唆する不確実性重ね合わせの概念は、時間配分を考える上で非常に重要です。

不確実性の受容

量子力学を貫く重要な法則として、不確定性原理というものがあります。

とても難解な学問ですから深入りはしません。ここでは、「未来の事象の不確定性はゼロにならない」ことが数学的に証明されている、くらいに思っていただければ十分です。

時間配分においては、計画通りにいかないことを前提に、柔軟に対応できる余地を残しておくことが重要と言えそうです。

太郎さんの場合、急な仕事や子供の病気など、予期せぬ出来事が起こる可能性を常に考慮しておく必要があります。

重ね合わせ

量子力学では、粒子は複数の状態を同時に取ることができるとされます。

時間配分においても、「仕事」と「家族」など、複数の価値観を両立させることを目指すことができます。

太郎さんのように、仕事もプライベートも大切にしたいという場合、どちらかを犠牲にするのではなく、両立させる方法を模索する必要があります。

この量子力学の視点を持っていると、「仕事orプライベート」といった二項対立ではなく、「仕事andプライベート」という共存の道が存在することに気づかされます

そうすれば、例えば「家族で一緒に働くために、カフェなどの自営業をやってみるのもいいんじゃないか?」「家族団らんの一環でやっていた手縫いのぬいぐるみ作り、あれでマネタイズできないか?」といった具体的なアイディアが、実際にやるかはさておき、色々と生まれてきます。

視点が増えればそれだけ、豊富な選択肢を検討することができるのです。

学問を参考に、時間配分を考えよう!

ここまでの検討を踏まえると、例えば太郎さんの時間の使い方として、下表の様な配分が考えられます。

経済学芸術学量子力学
平日日中集中して業務効率を最大化
- 会議や報告は時間厳守
- 定時退社を目標とする
仕事を楽しむ余裕を持つ
- リラックスできる休憩時間
- 気分転換を取り入れる
予期せぬ出来事に対応できる準備
- 柔軟に対応できる体制づくり
平日夕方以降限られた時間を有効活用
- 家事の効率化
- 外部サービスの活用
家族との時間を満喫
- リラックスできる時間を作る
- 夫婦で協力し、家事分担
家族と一緒に金銭を生む活動を行う
- 共同でカフェを経営する
休日家族との時間と自分のための時間のバランス
- 午前勉強、午後遊び
リフレッシュできる活動
- 心身を癒す活動
新しい発見をする
- 行ったことのない場所に行く
- 新しい学問を学んでみる

改めて、時間配分に正解はありません。一人一人の目標や価値観によって、望ましい時間配分は異なります。

ですが、人生をデザインする上で非常に重要な要素でもあります。

学問の知恵を借りながら、太郎さんのように、仕事もプライベートも充実させ、自分にとって最適な時間の使い方を見つけていきましょう!

さいごに

リベラルアーツを学ぶことで、多様な「モノの見方」、すなわち視点を獲得することができることを、時間の使い方をテーマに見てきました。

答えのない問題が増える現代において、自分の足で人生を歩むためにこの力は極めて重要です。

当ブログでは、身近な悩み事に対して複数の学問の視点を横断しながら検討していきます。

ぜひ、他の記事も見ていって下さい!

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