キャリア・人生論

限りある時間を何に投資すべきか?

2024年11月28日

ここ最近、ずっと考え続けている問いがあります。それは、

なぜこの社会はこんなにも生きづらいのだろうか?

です。

僕が感じるのは、やれVUCAの時代だとか地政学リスクの増大だとか、ご立派な報告資料であればとりあえず作っておくものの冒頭20秒くらいでさっさと流される「マクロ環境・PEST分析」資料などでつかみ取れるものではなく、もっと漠然とした違和感、虚無感です。

同種の違和感を感じていない人はあんまりいないんじゃないかと思っています。

しかし個人的には、世の中がその違和感を厚手のカーテンでまるごと覆ってしまい、人々がその上でふわふわとダンスをしているように見えてしまう。

どうにも変えることができないシステムであることを認識・許容してダンスに興じているのか、訳も分からずただ永遠に踊らされ続けているのか。

本当に幸せなのは後者なのかもしれませんが、この問いが生まれてしまった以上、前者の役割を全力で演じるか、システムごと変えていくしかないのでしょう。

自分はどちらサイドの人間なんだろう。

まぁこの問いは深淵すぎるのでいったん脇に置いておくとして、自分の中で一つ、自分なりの部分解が出せた気がする問いがあります。

それは、上記の問いが少なくとも部分的に解決不可能であるとした際に連続的に生まれてくる問い、「それでも生きていかなければいけない我々はどうすれば幸せになれるのか?」さらに分解して、「幸せに生きていくために、限りある時間を何に投資すればよいのか?」です。

自分の中での結論は以下の通りでして、図の四象限でいう①②③④の優先度で時間配分していくのが良いのかなと。
①社会資本×非功利的:家族、友人、気の置けない仲間
②人的資本×非功利的:すぐには役立たないが人生を豊かにしてくれる教養(人文科学、社会科学、自然科学、医学など)
③社会資本×功利的:ビジネスパートナー、仕事の同僚(LinkedInはここの交流を促進するイメージ)
④人的資本×功利的:すぐに仕事に役立つスキル(プログラミング、マーケティング、データサイエンスなど)

こう考えている理由はざっくりまとめると↓な感じです。
まず科学的な根拠として、
・A 人間の幸福度を高める最も重要な要素は「良い人間関係」
・B 人間のモチベーションを強く規定する3要素は「自律性」「達成感」「つながり」(自己決定理論)
次に思想的な通論として、
・C 人間どこまで行っても上には上がおり、周囲と比較したり周りの意見を気にする限り一生不幸

上記を踏まえて考えたこととして、

・①の領域については、ドンピシャでA及びBの「つながり」が当てはまっています。

ちなみにAについては、ハーバード大学が80年以上の時間をかけて、2,000人以上を対象に幸福度を定点観測するというクレイジーな研究で明らかになりました。(この研究については『THE GOOD LIFE』という本に細かく書いてあります)

・②の領域、いわゆるリベラルアーツとよばれる分野を学習していくことで、モノの見方が相対化され、常識から自由になることができます(少なくとも定説としてはそうですし、私自身もそれはすごく感じています)。

ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアなりの論理(地政学)、暇さえあればなまけようとする人間の性質(人類学、生理学)など何でもよいですが、これらの学習を通して様々な原理原則・考え方を知ることで、自分の中にある基準に沿って物事を判断できるようになります。

さらに言えば経験上、「良い悪い」の論点なのか「好き嫌い」の論点なのかに敏感になり、無駄な喧嘩を避けたり色々なものを許したりできるので心の安寧にもつながります。

これらはBの自律性とつながっていますし、自分で決められるということ自体が達成感につながっているとも考えられます。

・一方で④の領域は、上記ABCでいえばよくてBの「達成感」くらいにしか関与しないと考えられます。

経済的な自立は実現できるでしょうが、人間として自律しているという状態には、④の領域だけで至ることは難しい気がします。

さらにいえば④で得られるのはドーパミン、①や②領域でえられるのはセロトニンといったように、分泌される幸せホルモンも異なる気がします。

意識が高いだけのビジネスマンはただのアドレナリン中毒なのかもしれませんし、そういった方が仕事に全力を注ぎ過ぎると、育てるのに時間はかかるが自分の生涯を豊かなものにしてくれる①②に時間を割けなくなり、家庭環境の崩壊や重大なコンプライアンス違反を招くんではないでしょうか。

④にばかり注力している人がもしいるとしたら、それって中毒になっていないか?

すぐに出る成果ばかり求めて、安心感に浸ろうとしているだけじゃないか?

不都合な真実に目をつぶり、未来への不安をかき消すために「正解っぽいこと」をしているだけなんじゃないか?

それもわかるがもう少し気楽に①②を楽しもうよ、という話でした。

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